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増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド 1章 こんなときどうする? 免疫染色の“困った”を解決 困った② 陽性対照組織も検体組織も染色されない
抗原賦活処理に問題がある
著者: 柳田絵美衣12
所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室 2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
ページ範囲:P.931 - P.935
文献購入ページに移動■原理・原因
ホルマリンなどのアルデヒド系(変性型)固定液での固定で生じる蛋白架橋反応による立体障害や,マスキングの影響で,抗原決定基は抗体と反応しにくくなる.抗原賦活処理には,このマスキングの原因を除去して抗原と抗体が反応しやすくする効果や,蛋白のもつ独自の立体構造(高次構造)を再構成する効果がある.
抗原賦活処理の必要性の有無は抗原の種類によって異なるが,抗原賦活処理が必要な抗原で処理を行わないと,蛋白架橋反応による立体障害や,抗原がマスキングされたままの状態となり,抗原決定基(エピトープ)に抗体が反応できない.そのため,偽陰性となる.
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