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文献詳細

雑誌文献

検査と技術46巻9号

2018年09月発行

文献概要

増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド 3章 免疫染色に強くなる! 免疫染色の極意

DAB取り扱い

著者: 中村広基1

所属機関: 1西尾市民病院臨床検査室

ページ範囲:P.1050 - P.1051

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免疫染色の発色は,安定性の高いDABが基本

■DAB

 3,3’-ジアミノベンジジン(3,3’-diaminobenzidine:DAB)を用いた発色は,酸化還元酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase:HRP)によってDABが酸化・重合反応を起こし発色する機序を利用している.二次抗体に標識されたHRPがDAB試薬中の過酸化水素を分解し,生じた活性酸素がDABを酸化重合することにより茶褐色の沈殿が生じる1)(図1).二次抗体が結合した細胞の器官でこの沈殿が発生し,陽性部分が染着されることで対象となる抗原を検出する.染着したDABは,後の工程で用いられる水やアルコール類,キシレンなどの溶媒に耐性で,染色後標本も至適保存環境では長期間の保存が可能である.また,DAB試薬を構成するDAB液や過酸化水素液などの調整前の試薬液も冷蔵保存状態で比較的安定であり,染色試薬としては管理が簡単である.

 このように,DABは安定な物質であり,免疫染色で用いるグレードは安価であるため,免疫染色の発色基質として多用されている(図2).しかし,DABは膀胱癌を引き起こすことが知られているベンジジンの誘導体であり,DAB自体も国際がん研究機関により発癌性を示す可能性が指摘されている危険な物質である2).そのため,使用や廃棄は慎重に扱う必要がある.

参考文献

1)Seligman AM, Karnovsky MJ, Wasserkrug HL, et al : Nondroplet ultrastructural demonstration of cytochrome oxidase activity with a polymerizing osmiophilic reagent, diaminobenzidine(DAB). J Cell Biol 38:1-14,1968
2)国立医薬品食品衛生研究所:国際化学物質安全性カード 3,3’-ジアミノベンジジン,2007(http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss1666c.html)(2018年6月27日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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