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FOCUS
ヒトパピローマウイルス感染の実態
著者: 笹川寿之1
所属機関: 1金沢医科大学産科婦人科学
ページ範囲:P.22 - P.26
文献購入ページに移動はじめに
ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は小型DNAウイルスの一種で,現在,200タイプ以上が同定されている.本来,皮膚や陰部の疣贅(イボ)の原因と考えられてきたHPVが,子宮頸癌,腟癌・外陰部癌,陰茎癌,肛門癌,頭頸部癌の原因であることが明らかになりつつある.
子宮頸癌の約7割はHPV16,18型の感染によるため1),一次予防として,中学・高校生世代の女子や男子に対してHPV16,18型感染予防ワクチンを接種することによって癌の発生が防止できるようになった.二次予防の子宮頸がん検診では,これまで細胞の異常を捉える細胞診が主流であったが,最近はHPV検査によるprimary HPV検診が主流になりつつある.欧米に比べ,日本ではこれら一次,二次予防の普及は大きく遅れている.
ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は小型DNAウイルスの一種で,現在,200タイプ以上が同定されている.本来,皮膚や陰部の疣贅(イボ)の原因と考えられてきたHPVが,子宮頸癌,腟癌・外陰部癌,陰茎癌,肛門癌,頭頸部癌の原因であることが明らかになりつつある.
子宮頸癌の約7割はHPV16,18型の感染によるため1),一次予防として,中学・高校生世代の女子や男子に対してHPV16,18型感染予防ワクチンを接種することによって癌の発生が防止できるようになった.二次予防の子宮頸がん検診では,これまで細胞の異常を捉える細胞診が主流であったが,最近はHPV検査によるprimary HPV検診が主流になりつつある.欧米に比べ,日本ではこれら一次,二次予防の普及は大きく遅れている.
参考文献
1)Serrano B, Brotons M, Bosch FX, et al : Epidemiology and burden of HPV-related disease. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol 47:14-26,2018
2)国立がん研究センターがん情報サービス:がん登録・統計(https://ganjoho.jp/reg_stat/index.html)(2018年10月11日アクセス)
3)Sasagawa T, Maehama T, Ideta K, et al : Population-based study for human papillomavirus (HPV) infection in young women in Japan : A multicenter study by the Japanese human papillomavirus disease education research survey group (J-HERS). J Med Virol 88:324-335,2016
4)笹川寿之:宿主免疫応答の視点からのHPV発癌メカニズム.産婦の実際 65:1471-1479,2016
5)Sakamoto J, Kamiura S, Okayama K, et al : Single type infection of human papilloma virus as a cause for high-grade cervical intraepithelial neoplasia and invasive cancer in Japan. Papillomavirus Res in press,2018
6)Basu P, Mittal S, Bhadra Vale D, et al : Secondary prevention of cervical cancer. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol 47:73-85,2018
7)Barroeta JE, Adhikari-Guragain D, Grotkowski CE : Cervical cancer screening in the era of HPV vaccination: A review of shifting paradigms in cytopathology. Diagn Cytopathol 45:903-914,2017
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