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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻1号

2019年01月発行

文献概要

過去問deセルフチェック!

解答と解説

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所属機関:

ページ範囲:P.85 - P.85

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 現在市販されている迅速診断キットの反応原理は,①イムノクロマト法(immunochromatography assay:ICA),②ラテックス凝集法(latex agglutination test:LA),③酵素免疫測定法(enzyme immunoassay:EIA)あるいは酵素結合免疫吸着反応(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA),④蛍光抗体法(immunofluorescence technique:IF)などが主流である.特に,抗原抗体反応とペーパークロマトグラフィーとを組み合わせたICAが頻用されている.検体中の抗原(ウイルスや細菌)と金コロイドで標識した抗体を反応させた後,その反応液をメンブレン(ニトロセルロース膜)に流すと,抗原と抗体が複合体を形成しながら毛細管現象によってメンブレン中を進む.この免疫複合体はメンブレン上の適当な位置のライン上に固定された抗体に捕捉されて,目視可能な着色ラインとなって陽性像を呈することになる.

 重症肺炎で重要な起炎菌であるStreptococcus pneumoniae(肺炎球菌)やLegionella pneumophila(レジオネラ)の検出には,ICAを用いた尿中の抗原検出キットが使用されている.肺炎球菌は莢膜多糖抗原を,レジオネラではリポ多糖体(lipopolysaccharide:LPS)を主成分とする可溶性の特異抗原を検出する.所要時間は15分と短く,迅速性に優れている.小児では鼻咽頭に肺炎球菌を保菌している場合に偽陽性を示すことがあるので,グラム(Gram)染色像や培養結果と併せて総合的な判断が大切である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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