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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻10号

2019年10月発行

文献概要

FOCUS

家族性高コレステロール血症—超音波によるアキレス腱厚計測の有用性

著者: 小倉正恒1 道倉雅仁1 斯波真理子1

所属機関: 1国立循環器病研究センター研究所病態代謝部

ページ範囲:P.1174 - P.1177

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はじめに

 家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia:FH)は著明な高LDLコレステロール(low-density lipoprotein cholesterol:LDL-C)血症,アキレス腱肥厚をはじめとする黄色腫,若年性冠動脈疾患を特徴とする遺伝性代謝疾患である.FHは冠動脈疾患の罹患頻度が極端に高く,その発症年齢が通常より15〜20歳若いことから1),早期診断と適切な治療による動脈硬化症の発症および進展の予防が重要である.FHヘテロ接合体は200〜500人に1人の高頻度で認められ,わが国だけでも30万人以上存在する.急性冠症候群患者の5〜10%がFHであるという報告も散見されることから2),公衆衛生上,わが国の循環器疾患において最も重要な基礎疾患の1つといえる.

 FHの早期診断率が低いために心筋梗塞を発症して初めて診断される症例が多いこと,またFHと診断されないために適切な脂質低下治療を受けていない患者も多いこと,さらに家族スクリーニングが不十分なために本来であれば予防できるFH患者の家族の心血管イベントを阻止できていないことは極めて重要な課題であり,具体的な改善策を講じる必要性に迫られている.本稿では,FHの診断やリスク評価に有用なアキレス腱エコーについて解説する.

参考文献

1)Harada-Shiba M, Sugisawa T, Makino H, et al : Impact of statin treatment on the clinical fate of heterozygous familial hypercholesterolemia. J Atheroscler Thromb 17:667-674,2010
2)Nanchen D, Gencer B, Auer R, et al : Prevalence and management of familial hypercholesterolaemia in patients with acute coronary syndromes. Eur Heart J 36:2438-2445,2015
3)日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版.日本動脈硬化学会,2017
4)Michikura M, Ogura M, Yamamoto M, et al : Achilles Tendon Ultrasonography for Diagnosis of Familial Hypercholesterolemia Among Japanese Subjects. Circ J 81:1879-1885,2017
5)Sugisawa T, Okamura T, Makino H, et al : Defining patients at extremely high risk for coronary artery disease in heterozygous familial hypercholesterolemia. J Atheroscler Thromb 19:369-375,2012
6)Ogura M, Hori M, Harada-Shiba M : Association Between Cholesterol Efflux Capacity and Atherosclerotic Cardiovascular Disease in Patients With Familial Hypercholesterolemia. Arterioscler Thromb Vasc Biol 36:181-188,2016
7)日本超音波医学会・日本動脈硬化学会合同用語診断基準委員会 アキレス腱計測標準化小委員会:成人家族性高コレステロール血症スクリーニングに用いる「超音波法によるアキレス腱厚測定」の標準的評価法(http://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/pdf/measurement_achilles.pdf)(2019年7月2日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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