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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻10号

2019年10月発行

文献概要

書評

今すぐ知りたい! 不妊治療Q&A—基礎理論からDecision Makingに必要なエビデンスまで

著者: 吉村泰典12

所属機関: 1福島医大 2慶大

ページ範囲:P.1181 - P.1181

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不妊治療の現在を捉え,実践するための必読書

 生殖とは,生命体がこの世に現れて以来,連綿と繰り返してきた生命の保持を目的とした極めて重要な行為である.ヒトは生殖により次世代を産生し,個体の死を超えて存在することを可能にしている.近年の生殖医学の進歩には目覚ましいものがあり,生殖現象の解明のみならず,ヒトの生殖現象を操作する新しい技術も開発されている.とりわけiPS細胞や核移植胚由来のES細胞による配偶子再生は,今後の生殖医学や医療の展開にブレークスルーをもたらしてくれるかもしれない.少子化とも相まって,今後生殖補助医療によって誕生する子どもは増えるであろう.新しい医療技術を社会はどのように受け止め,家族としてどのように子どもを受け入れ,育てていくのか,あらためて問題となってくるであろう.

 このたび東医大教授の久慈直昭先生,レディースクリニック京野理事長の京野廣一先生の編集により,『今すぐ知りたい! 不妊治療Q&A—基礎理論からDecision Makingに必要なエビデンスまで』が医学書院より上梓された.本書においては,各専門家の長年の臨床経験に基づいた創意工夫や注意点がQuestion & Answer形式で記載されており,日常臨床における疑問を解決する趣意で草されている.多岐にわたる生殖補助医療技術について,いずれも臨床現場の最前線でご活躍の先生方が執筆されており,適応と限界,方法,治療成績,そして副作用や合併症対策に至るまで,極めて明快に論述されている.生殖医療の現場に携わっておられる先生方によって,日常臨床で遭遇する問題ばかりが選ばれており,明日からの治療に役立つプラクティカルな書であり,類書をみない.さらに,生殖医療を実践しようとしている医師へのメッセージが随所に込められており,まさに衣鉢を伝えるための書ともいえる.臨床の現場で本書を携えることで,実践を通して得た知識を整斉するためにも役立てていただきたい.また,生殖医療専門医,一般不妊治療に携わる医師,看護師から胚培養士をめざしている若い諸君に至るまで,clinical expertiseを高める意味でぜひとも活用を祈ってやまない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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