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亜急性甲状腺炎とバセドウ病の超音波画像での違いはなんですか?
著者: 白石周一1
所属機関: 1東海大学医学部付属八王子病院臨床検査技術科
ページ範囲:P.1218 - P.1221
文献概要
亜急性甲状腺炎は,炎症による甲状腺濾胞の破壊が起こり,甲状腺ホルモンが急激に血液中に流出することで,一過性に甲状腺機能亢進状態を呈する疾患です.亜急性甲状腺炎の病因としてはウイルスの関与が疑われており,感冒様症状に引き続いて発症することが多く,2〜3週間後に高熱や頸部痛が出現します.甲状腺は片側性の腫大を認めることが多く,腫大部に一致して圧痛がみられます.炎症は一方の側葉から対側の側葉へと波及することがあり,これをクリーピング現象と呼びます.すなわち甲状腺病態の発症初期は片側性変化を呈します.
一方,バセドウ(Basedow)病では,複数の遺伝要因と環境要因により,甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)と結合する受容体(TSH受容体)に対する自己抗体である抗TSH受容体抗体(TSH receptor antibody:TRAb)が産生され,この抗体がTSHの代わりにTSH受容体を過剰に刺激することで,甲状腺ホルモンが多量に分泌されます.バセドウ病の典型症状として,甲状腺機能亢進症に伴ったMerseburgの三徴(甲状腺腫大,眼球突出,頻脈)の他に,多汗や体重減少などがみられます.すなわちバセドウ病の典型像は甲状腺のびまん性腫大を呈します.
参考文献
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