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ヘマトキシリン・エオジン染色—病理検査の標準化を目指して
著者: 小川勝成1 徳永英博2
所属機関: 1広島大学病院診療支援部 2熊本大学病院医療技術部
ページ範囲:P.1264 - P.1268
文献購入ページに移動ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin-eosin:HE)染色は,病理組織診断のためにまず行われる基礎的な染色法である.生検や手術によって患部から摘出・採取された組織を用いて作製したプレパラート標本の有核細胞の核をヘマトキシリン液で染色し,それ以外の細胞質や間質組織および線維などをエオジン液で対比染色する.病理医はこのプレパラート標本を鏡顕し組織診断を行うが,HE染色の色合いの好みはさまざまである.また,最近セカンドオピニオンが頻繁に行われるようになり,AI(artificial intelligence)病理組織診断が検討され現実化しようとしている現在,HE染色の標準化がますます望まれている.これまで日本臨床衛生検査技師会や各都道府県技師会などにおいても,HE染色の標準化を目指し,精度管理調査が行われているが標準化には至っていない.
全国大学病院病理部技術者連絡会は2001年9月より,国立大学病院の病理部業務を行う技術者の発展を目的に発足した1).2004年からは,公立,私立大学も加えた57大学が参加し,病理検査業務の管理・運営および研究などに関する問題を討議し,その充実・発展を図るとともに,施設相互の親睦を目的として活動している.
全国大学病院病理部技術者連絡会では,HE染色の標準化を目指す調査として,2012年に「全国大学病院におけるHE染色調査報告」,2016年に「ヘマトキシリン・エオジン染色における病理医と技師の観察点のちがいについて」(対象:病理医と病理検査技師)を行った.これらの調査から,HE染色の標準化を目指すうえで,技師の立場として理解すべきことについて解説する.
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