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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻11号

2019年11月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

尿検査における癌細胞の同定—反応性細胞との鑑別に注意

著者: 佐伯勇輔1 山中睦美1 檜垣めぐみ1

所属機関: 1西条中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.1312 - P.1316

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はじめに

 尿中に出現する上皮細胞などの有形成分を形態学的に観察する検査として尿沈渣と尿細胞診が挙げられる.

 尿沈渣の臨床的意義は,腎・尿路系病変のスクリーニングおよびそれら病変に対する治療効果や薬剤の副作用判定についての情報収集である1).一方,尿細胞診では尿路上皮癌のスクリーニング,診断,治療後の経過観察を目的として行われ,自然に排出された尿を用いることが多い2).両検査においては共通の尿検体を用いるため,知識や患者情報の共有が必要となる.特に,尿路系悪性腫瘍のスクリーニングは両検査において極めて重要である.しかし,尿中には反応性尿路上皮細胞や反応性尿細管上皮細胞,ウイルス感染細胞などの良性異型細胞が出現するため癌細胞との鑑別が問題となる3).そのため,筆者ら4)は以前,反応性尿路上皮細胞と尿路上皮癌細胞においてvimentinを用いた免疫細胞化学を行い客観的な鑑別を検討した.

 本稿では,検討結果の解説および良性異型細胞を提示し,臨床的背景も加味した鑑別の注意点を述べる.

参考文献

1)日本臨床衛生検査技師会(監):検査技師による検査技師のための技術教本 一般検査技術教本.日本臨床衛生検査技師会,2012
2)日本臨床衛生検査技師会(監):JAMT技術教本シリーズ 細胞検査技術教本.丸善出版,2018
3)Brimo F, Vollmer RT, Case B, et al : Accuracy of urine cytology and the significance of an atypical category. Am J Clin Pathol 132:785-793,2009
4)佐伯勇輔,大﨑博之,此上武典,他:反応性尿路上皮細胞と尿路上皮癌細胞の鑑別におけるvimentinの有用性について.医学検査 66:1-7,2017
5)日本臨床細胞学会(編):細胞診ガイドライン1 婦人科・泌尿器 2015年版.金原出版,2015
6)Ohsaki H, Haba R, Matsunaga T, et al : Cytomorphologic and immunocytochemical characteristics of reactive renal tubular cells in renal glomerular disease. Acta Cytol 52:297-303,2008
7)金城満,佐藤正和,大﨑博之(監):BD LBC Reference Book 泌尿器編.日本ベクトン・ディッキンソン,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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