icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻12号

2019年12月発行

文献概要

技術講座 病理

—step up編—液状化検体細胞診による病理細胞診検査の標準化と精度管理

著者: 梅澤敬1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター病院病理部

ページ範囲:P.1379 - P.1387

文献購入ページに移動
Point

●液状化検体細胞診(LBC)は病変部の擦過や穿刺吸引で得られた検体を,専用の保存液が入ったボトルに回収し,検査を簡便化・合理化したシステムである.

●LBCは検体の回収から標本作製が標準化され,再現性のある標本を作製する細胞診システムと定義される.一方,検体を直接塗抹後,採取器具に付着した細胞を保存液中に洗い出し,2種類の標本作製をすることをsplit sample法と定義され,純粋なLBCとは異なる.

●LBCは鏡検の阻害となる赤血球,粘液などは除去されるため,標本には目的の細胞が均一に集約される.

●LBC標本作製後の余剰検体は,セルブロック作製,免疫染色,遺伝子検査など,従来法では困難であった検索が可能である.子宮頸部擦過細胞診では,子宮頸癌と関連する高リスクヒト乳頭腫ウイルス(HR-HPV)核酸タイピング検査に利用できる利点がある.

参考文献

液状化細胞診と直接塗抹法における標本適否の比較.日臨細胞会誌 53:89-93,2014
液状処理細胞診システムにおける血液の影響に関する研究 標本不適正要因を除去する前処理工程の検討.日臨細胞会誌 53:286-291,2014
液状処理細胞診システムへの粘液添加実験—標本不適正要因を除去する前処理工程の検討.日臨細胞会誌 52:502-506,2013
法の余剰検体を用いたハイリスクHPV検出率と遺伝子型の検討.日臨細胞会誌 56:276-282,2017
法のHSIL以上の陽性率と標本適否の比較.日臨細胞会誌 56:225-231,2017
法による唾液腺腫瘍穿刺吸引細胞診の標準化と診断精度向上の試み.医学検査 67:421-429,2018
7)梅澤敬,梅森宮加,堀口絢奈,他:膵腫瘤超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診の液状処理細胞診とセルブロックによる診断精度—Direct-to-vial study.診断病理 34:84-91,2017
液状化細胞診の診断精度と標本適否の検討.日臨細胞会誌 54:238-243,2015
法で高度扁平上皮内病変と評価した250例のhyperchromatic crowded cell groupsの出現頻度と細胞診断上の意義.日臨細胞会誌 57:13-18,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?