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連載 生理検査のアーチファクト・30
—聴覚機能検査① 気導・骨導聴力検査—検査手技の未熟さによる影響
著者: 橘内健一1
所属機関: 1社会医療法人耳鼻咽喉科麻生病院
ページ範囲:P.1396 - P.1399
文献購入ページに移動聴覚検査のアーチファクトとは
気導・骨導聴力検査は,純音を検査音として用いて聞こえる最も小さな音の強さ(聴力閾値レベル)を調べる検査である.この検査の原理は単純で,検者は被検者に音を提示して被検者は音が聞こえたら応答する.その繰り返しである.しかし,調べる音の強さは,被検者が聞こえる最も小さな音であるため,検者の一つ一つの作業が正確に行われなければ,再現性のある正確な結果は得られない.また,この検査はよく野球のキャッチボールに例えられる.検者は被検者にボール(検査音の提示)を受け取りやすいタイミングと強さで投げることによって,被検者はうまくボールを捕ること(音が聞こえたとの自覚的な判断)ができる.さらに,被検者には積極的にボールを捕ろうという気持ちをもってもらい,検者に対してボールをうまく投げ返して(応答)もらわなければならない.例えば,子どもや高齢の方とキャッチボールするときには,ゆっくりとボールを投げてやること(検査音の提示を長くしてあげる)でボールをしっかりキャッチ(音が聞こえるとの判断)してくれる.また,被検者から検者へボールを投げる(応答)までの時間も患者によってはさまざまである.聴力検査を円滑に正確に行うには被検者の調子や被検者にとってやりやすい方法で検査を行える技術も必要である.
そこで本稿から3回にわたり聴覚機能検査のアーチファクトについて紹介していく.第1回目は,検査手技の未熟さによる影響,第2回目は知識不足による影響,第3回目は患者の協力・理解度による影響について解説する.
気導・骨導聴力検査は,純音を検査音として用いて聞こえる最も小さな音の強さ(聴力閾値レベル)を調べる検査である.この検査の原理は単純で,検者は被検者に音を提示して被検者は音が聞こえたら応答する.その繰り返しである.しかし,調べる音の強さは,被検者が聞こえる最も小さな音であるため,検者の一つ一つの作業が正確に行われなければ,再現性のある正確な結果は得られない.また,この検査はよく野球のキャッチボールに例えられる.検者は被検者にボール(検査音の提示)を受け取りやすいタイミングと強さで投げることによって,被検者はうまくボールを捕ること(音が聞こえたとの自覚的な判断)ができる.さらに,被検者には積極的にボールを捕ろうという気持ちをもってもらい,検者に対してボールをうまく投げ返して(応答)もらわなければならない.例えば,子どもや高齢の方とキャッチボールするときには,ゆっくりとボールを投げてやること(検査音の提示を長くしてあげる)でボールをしっかりキャッチ(音が聞こえるとの判断)してくれる.また,被検者から検者へボールを投げる(応答)までの時間も患者によってはさまざまである.聴力検査を円滑に正確に行うには被検者の調子や被検者にとってやりやすい方法で検査を行える技術も必要である.
そこで本稿から3回にわたり聴覚機能検査のアーチファクトについて紹介していく.第1回目は,検査手技の未熟さによる影響,第2回目は知識不足による影響,第3回目は患者の協力・理解度による影響について解説する.
参考文献
1)日本聴覚医学会(編):聴覚検査の実際,改訂3版.南山堂,2009
2)小寺一興,村井和夫,朝隈真一郎:「日本聴覚医学会聴覚検査法」の制定について 日本聴覚医学会聴覚検査法 1.オージオメータによる純音聴力(閾値)レベル測定法(2008).Audiol Jpn 51:241-249,2008
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