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採血手技は凝固検査に影響する—正しい凝固線溶検査結果を見分けるポイント
著者: 矢島智志1
所属機関: 1横浜市立大学附属病院臨床検査部
ページ範囲:P.1404 - P.1405
文献購入ページに移動凝固線溶検査に用いる採血検体は,人工的に血管を傷つけ血液を採取している.この時点で凝固反応が進む条件を満たし,連動して線溶反応も進む環境下にある.採血手技による過剰な凝固活性や線溶亢進に対し反応停止剤がないため,検体採取および保存条件に影響を受ける.その影響度は一定でなく,検体固有の状態および過剰凝固過程の状況により左右されるため解釈に苦慮する.凝固線溶検査は複数の要因が反応経路をたどって得た活性値や質量・代謝産物が検査結果値となる.したがって,採血手技の影響を含めて総合的に判断をするためにも,基礎的な凝固線溶反応の機序と測定装置および測定試薬の原理・特徴を把握して検査を行うことが必要である.また,採血方法および検体の前処理はJCCLS(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards)標準採血法ガイドラインGP4-A31)および日本検査血液学会標準化委員会凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループから報告された凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス2,3)に準拠して取り扱うことが重要である.
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