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臨床医からの質問に答える
培養結果で報告された菌は原因菌なのでしょうか?
著者: 萩原繁広1
所属機関: 1済生会宇都宮病院 医療技術部 臨床検査技術科 検体検査課 細菌検査室
ページ範囲:P.535 - P.539
文献購入ページに移動日常検査において,各材料からさまざまな菌が分離される.そのなかには,感染症の原因菌や常在菌が含まれる.市中感染では,ビルレンス(病原性)の強い菌が感染し,体の各臓器にさまざまな感染症を発症させる.病院感染では易感染者に対して環境由来の弱毒菌や常在菌が感染症の原因菌になることが多い.
一般的に感染症(感染部位・病態)と原因微生物(菌種)との間にはある程度の関連性が認められる.このため,典型的な感染症とその原因菌を把握しておくことは培養検査結果の解釈の際に大いに役立つ.また,検査材料の品質を外観やグラム(Gram)染色で評価(感染病巣部由来や粘膜由来など)することが極めて重要である.特に検体採取時に常在菌汚染が避けられない喀痰などの検査材料においては,グラム染色による品質評価が欠かせない.一方,血液,胸水あるいは髄液などの無菌材料から微生物が検出された場合には比較的結果解釈が容易である.しかしながら,血液培養を代表とする無菌材料から皮膚常在性の菌種が検出された場合には,コンタミネーションと原因菌両方の可能性を考慮する必要がある.
本稿では血液培養陽性事例をもとに,培養検査結果の読み方・考え方について紹介する.
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