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移植肝の病理標本作製
著者: 谷野美智枝1 秋山直子1 鵜野裕治1 佐渡正敏2 丸川活司3 古川博之4
所属機関: 1旭川医科大学病院病理部/病理診断科 2旭川医科大学病院臨床検査・輸血部 3北海道医療大学医療技術学部臨床検査学科 4旭川医科大学外科学講座肝胆膵・移植外科学分野
ページ範囲:P.572 - P.575
文献購入ページに移動1963年,米国のThomas E. Starzl教授らによって初めて行われた肝移植は,手術手技の向上,臓器保存方法や免疫抑制剤の開発などにより成績が向上し,1980年代以降は標準治療となった.その結果,米国では脳死肝移植が増加し,2017年には年間8,000件の肝移植が行われている.一方,日本においては脳死肝移植が進まないなか,1989年に生体肝移植が初めて行われて以来,緩徐に増加し,現在では年間約500件の肝移植が行われている.
臓器の移植に関する法律(臓器移植法)が1997年に施行され,2010年の改正法の施行以降,徐々に脳死ドナー数も増加傾向にあるが,依然としてその大部分は生体肝移植に頼っている1).現在,肝臓の脳死移植認定施設は25施設であるが,生体肝移植はさらに多くの施設で行われている.原疾患としては,小児では胆道閉鎖症,成人では肝細胞癌やウイルス肝炎が多く,現在の脳死肝移植待機患者数は2019年1月現在で336名である(日本臓器移植ネットワークホームページ参照).血液検査や画像検査の発展により,より的確に移植後肝の病態について診断ができるようになったものの,急性拒絶反応などの確定診断にはいまでも肝生検が必須となっていることに変わりはない.
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