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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻6号

2019年06月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

イムノクロマト法の非特異反応(偽陰性・偽陽性)はどの程度の頻度で起こるのですか?

著者: 黒田雅顕1

所属機関: 1帝京大学医療技術学部臨床検査学科

ページ範囲:P.708 - P.712

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はじめに

 欧米ではlateral flow immunoassayと呼ばれるイムノクロマト法は,特殊な測定機器や測定技術を必要とせず短時間で結果を得ることが可能なことから,POCT(point of care testing)対応試薬として広く普及している.特に迅速診断試薬として病院臨床検査室,検査室をもたない病院で汎用されている.イムノクロマト法を原理とした妊娠検査薬である尿中hCG(human chorionic gonadotropin)検出試薬などもOTC(over the counter)試薬として以前から普及している.近年,排卵予測検査薬としてイムノクロマト法による尿中黄体形成ホルモン(luteinizing hormone:LH)測定検査薬が認可され,販売されているのは新しいところである.

 現在,イムノクロマト法を用いた測定検査項目は感染症診断を目的とした細菌やウイルス抗原・抗体をはじめ心筋マーカー,特異的IgE抗体,便潜血,薬物など多岐にわたり増加している.特にインフルエンザ抗原などの感染症項目については,測定試薬の性能向上により感度と特異性に優れたものが上市されている.また,対象となる検体の種類も多様になり,尿,血液成分(血清,血漿,全血)以外に,便,涙液,鼻腔拭い液,咽頭拭い液,唾液などが検査検体となり,検体前処理が必要なキットも多くなってきている.本稿では,イムノクロマト法の偽陰性・偽陽性発生の背景について考える.

参考文献

1)三田村敬子,山崎雅彦,片田順一,他:銀増幅イムノクロマトグラフィー法を用いた高感度インフルエンザ迅速診断システムの臨床検討.医と薬学 67:307-314,2012
2)大澤進,永峰康孝,細萱茂実,他:臨床検査学講座 検査管理総論,第4版.医歯薬出版,pp123-136,2010
3)日本臨床検査自動化学会:免疫化学検査の異常データの解釈と対応の仕方Ver.1.0.日臨検自動化会誌 40(suppl 1):3-116,2015
4)厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業:保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン,第3版.2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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