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文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻6号

2019年06月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

尿沈渣検査における細菌判定のピットフォール

著者: 松村隆弘1

所属機関: 1北陸大学医療保健学部医療技術学科

ページ範囲:P.715 - P.718

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はじめに

 細菌尿は尿路感染症(urinary tract infection:UTI)において極めて重要な所見であり,UTIのスクリーニング検査として有用なのが尿定性試験と尿沈渣の鏡検である.

 尿定性試験では白血球エステラーゼ試験と亜硝酸塩試験の結果がUTIの指標として用いられている.白血球エステラーゼ試験の感度は75〜96%,特異度は80〜90%であるため,陽性であれば膿尿と判断できる.一方,亜硝酸塩試験の感度は25%程度と高くはないが,特異度は>90%と高く,陽性であれば有意な細菌尿と判断可能である.しかし,偽陰性要因を考えると,一方またはどちらも陰性の場合でもUTIを否定することはできず,最終的に尿沈渣所見が重要となる.尿沈渣の結果で,膿尿〔>5WBC/HPF(white blood cell/high power field)〕,細菌(1+)を確認できれば,症状および所見と合わせUTI診断を確定することが可能となる1)

 本稿では尿沈渣検査における細菌判定を中心に,注意点とその対策事項などを挙げる.

参考文献

1)Rachel LC(著),島田馨,奥住捷子(監訳):感染症Emergency.南江堂,pp199-202,2011
2)日本臨床衛生検査技師会尿沈渣特集号編集部会:第二部 尿沈渣検査.医学検査 66:18-50,2017
3)野崎司,伊藤機一:尿沈渣検査と尿培養法の細菌陽性率の比較.臨病理レビュー 125:194-198,2003
4)大沼健一郎:亜硝酸塩(+),尿沈渣細菌(+)なのに,尿培養で陽性になりません.何が原因と考えられますか? Med Technol 44:161-162,2016
5)河村佳江,飯沼由嗣,薄田大輔,他:全自動尿中有形成分分析装置UF-5000による尿中グラム陽性菌/陰性菌弁別判定の評価.医学検査 66:516-523,2017
6)Yasuda M, Takahashi S, Kiyota H, et al : Japanese guideline for clinical research of antimicrobial agents on urogenital infections : the first edition. J Infect Chemother 17:579-594,2011
7)弓狩加恵,吉澤梨津好,津郷幸子,他:装置特性を活かしたU-SCANNERⅡ運用の試み.医学検査 63:36-40,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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