icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術47巻7号

2019年07月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

自己血糖測定器と検査室で測定したグルコースの結果が乖離することがあるのはなぜですか?

著者: 久米幸夫1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.826 - P.829

文献購入ページに移動
はじめに

 血糖検査には,①検査室で行われる検査,②病棟などで医療従事者が使用する簡便かつ迅速に測定が可能なPOCT(point of care testing),③患者自身が測定する自己血糖測定器(self monitoring of blood glucose:SMBG)の3つがある.本稿では主に①と②との相違について解説する.

 まず,検査室測定値とSMBG測定値の乖離を認め検査室へ問い合わせがあったとき,臨床医からの情報不足と,その原因が多様であることから回答に苦慮する場合がある.通常の患者の血糖値は,両測定法でそれほど差がないが,ごくまれに測定原理や検体の採取法などにより,無視できない差が生じる場合がある.明らかな乖離を認めた場合には検査の専門家として,臨床検査技師が率先して患者や臨床から情報を収集し,その乖離原因を究明する必要がある.

参考文献

1)山崎家春:POCのトラブル対応と事例 ①患者からのクレーム「家と病院では結果が異なる(特に血糖測定)」.医療と検機器・試薬 36:624-627,2013
2)古田真由美,斎藤浩美,中山年正:健常人における75g経口ブドウ糖負荷試験時の毛細管血・静脈血血糖値の差について.臨化 22:35-41,1993
3)古田真由美,斎藤浩美,米田登志子,他:75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)時における毛細管血と静脈血血糖値の差異との糖尿病学会委員会の正常型判定基準について.糖尿病 36:631-637,1993
4)広瀬佳子,井上澄子,宮原祥子,他:ヘマトクリット値が簡易血糖測定器に与える影響.医療と検機器・試薬 32:423-430,2009
5)菅野宙子,井上美幸,友田雅己,他:血糖自己測定器7機種の基礎性能評価.医と薬学 71:743-754,2014
6)佐藤昴太,吉田知子,田口順一,他:血液透析患者のシャント混合血を用いたPOCTグルコース分析装置「グルテストミント」の評価検討.医療と検機器・試薬 37:761-766,2014
7)大竹千生:自己血糖測定をしている52歳女性患者.食前,あるいは食後一定時間後に測定した血糖値が,来院し採血して検査室で測定した値と常に大きく異なる場合の原因と患者への対処法は.Mod Physician 24:1502-1503,2004
8)池ノ下友里,臼井哲也,南惣一郎,他:血糖自己測定(SMBG)各機種の環境温度による影響について.医療と検機器・試薬 33:383-385,2010
」の基本的性能評価の比較.医と薬学 70:389-397,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?