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遺伝性腫瘍
著者: 水上都1 櫻井晃洋1
所属機関: 1札幌医科大学医学部遺伝医学
ページ範囲:P.864 - P.867
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2013年5月,ニューヨークタイムズ紙に米国女優アンジェリーナ・ジョリー氏が予防的両側乳房切除術を受けたと公表し,世界的に注目されたのは記憶に新しい.これを機に,遺伝性乳がん卵巣がん症候群だけではなく,遺伝性腫瘍そのもの,そして遺伝情報に基づく選択的治療にも世間の関心を集めることになった.
生涯で,国民の2人に1人ががんに罹患する1)といわれている現代において,家系内にがんに罹患した家族が複数存在することは珍しくない.また,昔から,“うちはがん家系である”といった言葉もよく耳にし,そういう家系であると自覚した人は,“なんとなく”自身で若いうちからがん検診を受診することもある.しかし,近年の急速なゲノム医学の発展により,“なんとなく”から“明確に”原因となる遺伝子のバリアント(変異)と,それに伴うがん発生のリスクがわかるようになり,ゲノム情報に基づいた個別化医療が可能となってきている.本稿では,遺伝性腫瘍について検査や治療,遺伝カウンセリングなどを中心に述べていきたい.
2013年5月,ニューヨークタイムズ紙に米国女優アンジェリーナ・ジョリー氏が予防的両側乳房切除術を受けたと公表し,世界的に注目されたのは記憶に新しい.これを機に,遺伝性乳がん卵巣がん症候群だけではなく,遺伝性腫瘍そのもの,そして遺伝情報に基づく選択的治療にも世間の関心を集めることになった.
生涯で,国民の2人に1人ががんに罹患する1)といわれている現代において,家系内にがんに罹患した家族が複数存在することは珍しくない.また,昔から,“うちはがん家系である”といった言葉もよく耳にし,そういう家系であると自覚した人は,“なんとなく”自身で若いうちからがん検診を受診することもある.しかし,近年の急速なゲノム医学の発展により,“なんとなく”から“明確に”原因となる遺伝子のバリアント(変異)と,それに伴うがん発生のリスクがわかるようになり,ゲノム情報に基づいた個別化医療が可能となってきている.本稿では,遺伝性腫瘍について検査や治療,遺伝カウンセリングなどを中心に述べていきたい.
参考文献
1)国立がん研究センターがん情報サービス:知っておきたいがんの基礎知識(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html)(2019年5月9日アクセス)
2)櫻井晃洋:特集 遺伝性腫瘍—実地臨床での対応を目指して.頻度が少ない臨床上重要な遺伝性腫瘍.日医雑誌 145:721-725,2016
3)日本医学会:医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン.2011年2月(http://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis.pdf)(2019年4月11日アクセス)
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