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KANNO血液型
著者: 伊藤正一1 大戸斉2
所属機関: 1日本赤十字社東北ブロック血液センター 2福島県立医科大学
ページ範囲:P.1098 - P.1102
文献購入ページに移動赤血球輸血を行う際には,まず患者の血液型(ABO,RhD)検査と不規則抗体(抗Aおよび抗B以外の赤血球抗原に対する抗体)をスクリーニングする.不規則抗体が検出されなければ,患者血液とABOおよびRhDが同型血液との交差適合試験を実施し,適合することを確認して輸血を行う.不規則抗体が検出された際には,その抗体の特異性を決定し,臨床的意義のある抗体であれば対応する抗原が陰性の血液を入手し,輸血対応する.
2019年時点で国際輸血学会に公認されているヒト赤血球上の血液型抗原は326抗原であり,これらの抗原は36の血液型システムのいずれかに属している.輸血や妊娠によって同種抗体が産生されるが,日常検査で検出される抗体のほとんどは既知の血液型システムに属する多型性抗原に対する抗体である.抗D,抗C,抗E,抗c,抗e,抗M,抗S,抗s,抗Fya,抗Fyb,抗Jka,抗Jkb,抗Dia,抗Dib,抗Leaなどは,日本人から検出される臨床的意義のある主要な抗体である.
一方,自己赤血球とは反応せず,同種赤血球全てと反応する高頻度抗原に対する抗体に遭遇することがあり,その被検者は高頻度抗原を欠くまれな血液型である.高頻度抗原は通常集団のなかで抗原頻度が99%以上である.今回紹介するKANNO(カノ)血液型は37種類目の血液型システムとして2019年に認定された血液型であり,この発見は,KANNO−型個体が保有した高頻度抗原に対する抗体(抗KANNO)との遭遇がきっかけであった.
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