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雑誌文献

検査と技術48巻11号

2020年11月発行

文献概要

トピックス

血友病A治療の最前線—二重特異性抗体の登場

著者: 西川真子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1195 - P.1197

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はじめに

 血友病とは,血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)あるいは第Ⅸ因子(FⅨ)の量的・質的異常によるX連鎖性劣性遺伝形式の先天性出血性疾患である.血友病の止血療法は,インヒビター非保有例では不足した凝固因子の補充療法,インヒビター保有例ではバイパス止血製剤の輸注が標準治療として行われてきたが,2018年にわが国で保険収載された二重特異性抗体製剤エミシズマブによって,血友病Aの治療は転換期を迎えている.エミシズマブはFⅧの活性化を要さずに血液凝固第Ⅹ因子(FⅩ)を活性化させるため,エミシズマブ投与下では活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)が過度に短縮する.本稿では,エミシズマブ投与下での血液凝固系検査への影響を中心に述べる.

参考文献

1)血液凝固異常症全国調査運営委員会:厚生労働省委託事業 血液凝固異常症全国調査 令和元年度報告書.公益財団法人エイズ予防財団,2020(https://api-net.jfap.or.jp/image/data/blood/r01_research/r01_research.pdf)(2020年8月18日アクセス)
2)Peyvandi F, Garagiola I, Young G : The past and future of haemophilia : diagnosis, treatments, and its complications. Lancet 388:187-197,2016
3)Nogami K, Soeda T, Matsumoto T, et al : Routine measurements of factor Ⅷ activity and inhibitor titer in the presence of emicizumab utilizing anti-idiotype monoclonal antibodies. J Thromb Haemost 16:1383-1390,2018
皮下注 30mg,60mg,90mg,105mg,150mg適正使用ガイド 先天性血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制.中外製薬,2019(https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/hem/sc/guide-hi/doc/hem_guide_hi.pdf)(2020年8月18日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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