文献詳細
FOCUS
文献概要
はじめに
2006年3月27日より「石綿による健康被害の救済に関する法律」(以下,石綿救済法)が施行された.当時,最も話題になった疾患は,クボタ社の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の近隣に居住していた住民に発症した胸膜中皮腫であった.本誌2006年7月号に,石綿曝露と関連する中皮腫と肺癌についてのトピックス1)が掲載されているが,胸膜中皮腫の発生状況はいまなお増加傾向が著しい.
石綿救済法施行以降,2020年3月末までにこの石綿救済法で認定された患者は,中皮腫9,197人,肺癌1,937人,石綿肺41人,びまん性胸膜肥厚175人である2).
2006年3月27日より「石綿による健康被害の救済に関する法律」(以下,石綿救済法)が施行された.当時,最も話題になった疾患は,クボタ社の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の近隣に居住していた住民に発症した胸膜中皮腫であった.本誌2006年7月号に,石綿曝露と関連する中皮腫と肺癌についてのトピックス1)が掲載されているが,胸膜中皮腫の発生状況はいまなお増加傾向が著しい.
石綿救済法施行以降,2020年3月末までにこの石綿救済法で認定された患者は,中皮腫9,197人,肺癌1,937人,石綿肺41人,びまん性胸膜肥厚175人である2).
参考文献
1)井内康輝:アスベスト曝露と関連する胸膜・肺腫瘍.検と技 34:704-707,2006
2)環境再生保全機構石綿健康被害救済部:石綿健康被害救済法に基づく受付及び認定等の状況,2020(https://www.erca.go.jp/asbestos/relief/uketsuke/pdf/20200331_nintei.pdf)(2020年8月21日アクセス)
3)森永謙二,篠原也寸志:労災補償と救済.臨検 52:1039-1044,2008
4)Travis WD, Brambilla E, Müller-Hermelink HK(eds) : WHO Classification of Tumours. Pathology & Genetics. Tumours of the Lung, Pleura, Thymus and Heart. IARC, Lyon, 2015
5)国立研究開発法人国立がん研究センター(監),厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)(編):国際疾病分類—腫瘍学 第3.1版 ICD-0.厚生労働統計協会,2018
6)石綿・中皮腫研究会,日本中皮腫研究機構,日本肺癌学会(編):中皮腫瘍取扱い規約.金原出版,2018
7)中央環境審議会石綿健康被害判定小委員会:医学的判定に係る資料に関する留意事項(平成29年6月29日)(https://www.erca.go.jp/asbestos/general/pdf/ryui.pdf)(2020年7月17日アクセス)
8)日本病理学会病理検体処理ガイドラインワーキンググループ:病理検体取扱いマニュアル—病理検体取り違えを防ぐために.日本病理学会,2016(http://pathology.or.jp/news/pdf/manual_160523.pdf)(2020年7月17日アクセス)
9)日本肺癌学会(編):悪性胸膜中皮腫細胞診断の手引き,第1.0版.日本肺癌学会,2017(https://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1539.pdf)(2020年7月17日アクセス)
10)田中真理:石綿小体計測検査法.検と技 47:1222-1223,2019
11)労働者健康安全機構:石綿関連疾患診断技術研修—石綿小体計測講習会(https://www.research.johas.go.jp/asbestokenshu/)(2020年7月17日アクセス)
12)日本呼吸器学会肺生理専門委員会(編):呼吸機能検査ガイドライン—スパイロメトリー,フローボリューム曲線,肺拡散能力.メディカルレビュー社,2004
13)環境保全再生機構石綿健康被害救済部(編):石綿と健康被害(第13版).2019(https://www.erca.go.jp/asbestos/what/kenkouhigai/pdf/panphlet.pdf)(2020年7月17日アクセス)
掲載誌情報