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臨床検査のピットフォール
造血器腫瘍遺伝子検査結果の解釈
著者: 石毛崇之1
所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1250 - P.1252
文献購入ページに移動はじめに
分子生物学の発展により,造血器腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫など)の分子病態が次々と明らかになっている.染色体・遺伝子レベルでのさまざまな異常が同定されており,これらの検査は造血器腫瘍の病型分類・予後予測・治療法選択の決定に重要な役割を担っている.急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の分類においては,形態学を基本としたFAB(French-American-British)分類から,特徴的な染色体・遺伝子異常を加味したWHO(World Health Organization)分類が主流になってきている1).
また,遺伝子異常を標的とした分子標的薬の開発も進んでおり,例えば,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)におけるBCR-ABL1(breakpoint cluster region-Abelson murine leukemia 1)融合蛋白質を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬はCMLの治療成績を劇的に向上させた.臨床検査においては,染色体検査に加えて,より感度に優れた遺伝子検査が普及しつつあるが,検査結果を正しく解釈するためには,これら検査の特性を知っておく必要がある.本稿では,造血器腫瘍のなかでもCMLを中心に遺伝子検査のポイントを記載する.
分子生物学の発展により,造血器腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫など)の分子病態が次々と明らかになっている.染色体・遺伝子レベルでのさまざまな異常が同定されており,これらの検査は造血器腫瘍の病型分類・予後予測・治療法選択の決定に重要な役割を担っている.急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の分類においては,形態学を基本としたFAB(French-American-British)分類から,特徴的な染色体・遺伝子異常を加味したWHO(World Health Organization)分類が主流になってきている1).
また,遺伝子異常を標的とした分子標的薬の開発も進んでおり,例えば,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)におけるBCR-ABL1(breakpoint cluster region-Abelson murine leukemia 1)融合蛋白質を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬はCMLの治療成績を劇的に向上させた.臨床検査においては,染色体検査に加えて,より感度に優れた遺伝子検査が普及しつつあるが,検査結果を正しく解釈するためには,これら検査の特性を知っておく必要がある.本稿では,造血器腫瘍のなかでもCMLを中心に遺伝子検査のポイントを記載する.
参考文献
1)日本血液学会(編):造血器腫瘍診療ガイドライン,2018年版.金原出版,2018
2)Gabert J, Beillard E, van der Velden VH, et al : Standardization and quality control studies of 'real-time' quantitative reverse transcriptase polymerase chain reaction of fusion gene transcripts for residual disease detection in leukemia - a Europe Against Cancer program. Leukemia 17:2318-2357,2003
3)南木融:造血器腫瘍遺伝子検査の変貌—診断と治療はどう変わったか? 日臨検自動化会誌 42:215-220,2017
4)通山薫:造血器腫瘍の診療を支える臨床検査.日内会誌 102:3140-3146,2013
5)Melo JV : The diversity of BCR-ABL fusion proteins and their relationship to leukemia phenotype. Blood 88:2375-2384,1996
6)Jinawath N, Norris-Kirby A, Smith BD, et al : A rare e14a3 (b3a3) BCR-ABL fusion transcript in chronic myeloid leukemia : diagnostic challenges in clinical laboratory practice. J Mol Diagn 11:359-363,2009
7)Verma D, Kantarjian HM, Jones D, et al : Chronic myeloid leukemia (CML) with P190 BCR-ABL : analysis of characteristics, outcomes, and prognostic significance. Blood 114:2232-2235,2009
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