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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻12号

2020年12月発行

過去問deセルフチェック!

解答と解説

ページ範囲:P.1329 - P.1329

文献概要

 ウイルスの重要な特徴として,①極めて微小(20〜200nm)で電子顕微鏡でなければ観察できない(光学顕微鏡では見ることができない),②DNAもしくはRNAのどちらか一方の核酸を蛋白質の殻が包んでいる,③トロピズム(親和性)を有する:特定の種,臓器,細胞で増殖する,④蛋白合成系をもたないので増殖には生きた細胞が必要である点が挙げられる.培養には組織細胞,孵化鶏卵,動物を用いる.すなわち,ウイルスは生きた細胞なしでは生きられない“偏性細胞内寄生体”である.

 ウイルスの構造は核酸(DNAもしくはRNAのどちらか一方)が蛋白質の殻で取り囲まれており,この殻を“カプシド”と呼ぶ.核酸とカプシドを合わせた構造体が“ヌクレオカプシド”である.ウイルスのなかには,カプシドの外側に“エンベロープ”という脂質の膜を被るものがある.ウイルスが感染した細胞から外に出るときに宿主の脂質膜を剝ぎ取って出て行くので,ウイルス粒子の最も外側をこの宿主由来の“エンベロープ”で包み込むことで,新たな宿主細胞に効率よく融合,侵入することができる.このエンベロープはリン脂質でできているため,その構造を壊すようなエタノールや界面活性剤などの消毒で不活化されやすい性質がある.インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスはエンベロープをもつため,石鹼での手洗いや消毒で感染性が失われる.逆に,ノロウイルスやロタウイルス,A型肝炎ウイルス,アデノウイルスなどのエンベロープをもたないウイルスは,アルコール消毒剤や生体内の胃酸や胆汁酸などが効きにくい傾向がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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