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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻3号

2020年03月発行

文献概要

増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説 Ⅴ 採血室の運営と工夫

採血室におけるマネジメント

著者: 曽根伸治1

所属機関: 1国際医療福祉大学成田病院検査部

ページ範囲:P.308 - P.311

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はじめに

 外来および健診センターなどの採血室で,採血業務を安全かつスムーズ行うためには,採血スキルが,最も重要であることは言うまでもない.しかし,採血手技が検査値に与える影響や採血合併症などの知識は重要であり,それらについては前稿までに解説をいただいている.2016年度の診療報酬改定での“国際標準検査管理加算”の新設に伴い,臨床検査の標準化を目指した認定取得や2018年12月の医療法等の改正に伴い,病院,診療所における構造設備,管理組織,検体検査の精度確保のために標準作業書や日報などの整備が求められ,採血室のマネジメントも重要であるとの認識が高くなっている.そこで,本稿では採血室の運営に関する視点で述べたいと思う.

 採血室でのマネジメントの必要性は,採血管準備装置が1991年に発売され,2000年頃から大学病院をはじめ多くの施設に導入されたことがきっかけと考えられる1〜3).2006年の診療報酬改定では,外来当日の採血データで診察することで1項目10点,最大5項目までの外来迅速検体検査加算が認められるようになった.これにより,患者は1回の外来受診の最新データで診察,治療,投薬を受けられるメリットがあり,病院の収益向上にもつながり,多くの病院で利用されている.

 臨床検査室の認定では.わが国でも2005年から国際規格ISO 15189(臨床検査室−品質と能力に関する特定要求事項)に基づいた審査が開始され,2019年9月現在186施設が認定されている.他にも日本医療機能評価機構による病院機能評価や国際的な病院機能評価であるJCI(Joint Commission International)認証があり,採血室業務の標準化が実施されている.これらの認証では,業務手順の標準化に加え,教育研修,力量評価などの検査室のマネジメントシステムを要求している.また,臨床検査の利用者(患者のみではなく,医師や看護師の医療従事者も含む)の要望を確認して,必要に応じて改善を検討する仕組みも求めている.大学病院などの多くの病院では,2010年頃までは採血待ち時間が長かったが,待ち時間を短縮する取り組みを実施して,検査結果の報告までの所要時間を1時間程度にする努力をしている4〜6)

参考文献

1)松井朝子,中村明,宮前敏一,他:ベルトコンベア式採血管準備装置を取り入れた新しい採血システム.臨病理 43(suppl):218,1995
2)細谷隆一,町田哲男,桐渕真理子,他:中央採液室への自動化の導入.医学検査 49:692,2000
3)平沢修:20周年を迎えた採血管準備装置の過去,現在,未来.医学検査 60:683-683,2011
4)曽根伸治,大久保滋夫,岡崎仁,他:採血システムの更新による外来採血室の待ち時間短縮への取り組み.日臨検自動化会誌 41:314-320,2016
5)太田由理,直本拓己,東口佳苗,他:採血室患者満足度調査の実施と業務改善の取り組み.医学検査 67:740-746,2018
6)楠木晃三,米田登志男:診療内容を優先した採血システム稼働に伴うTurnaround Time(TAT)の評価.医学検査 66:308-314,2017
7)World Health Organization : WHO guidelines on Hand Hygiene in Health Care. WHO,2009
8)World Health Organization : Hand hygiene in outpatient care, home-based care and long-term care facilities. WHO,2012
9)World Health Organization : WHO Guidelines on Drawing Blood. WHO,2010
10)金子誠,曽根伸治,盛田和治,他:検査部採血室の管理・運営 採血業務における診療支援と患者サービス向上を目指して.日臨検自動化会誌 41:3-12,2016
11)曽根伸治,盛田和治,名倉豊,他:外来採血システムによる患者および採血管取り違え防止.日臨検自動化会誌 35:857-862,2010
12)嶋崎明美:当科独自の認定制度を用いた採血教育.臨病理 64:891-894,2016
13)盛田和治,金子誠,曽根伸治,他:採血室における患者アメニティ改善の取り組み—採血室リニューアルおよび業務改善の前後に実施したアンケート調査結果からわかったこと.医学検査 66:17-24,2017
14)松井亜理沙,久末崇司,高橋恵,他:データ分析に基づく採血室の管理・運営.臨病理 66:599-603,2018
15)金子誠,中尾博之,盛田和治,他:外来採血室の防災訓練—地震災害時の外来採血室での初期対応に関するシミュレーション.臨病理 61:1101-1106,2013
16)小野佳一,佐藤智明,矢冨裕:4章 管理上の要求事項.臨検 63:1094-1103,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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