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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻3号

2020年03月発行

文献概要

増刊号 採血のすべて—手技から採血室の運用まで徹底解説 Ⅴ 採血室の運営と工夫

監視カメラを利用した採血室管理

著者: 市村直也1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.354 - P.358

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はじめに

監視カメラの導入背景

 採血は多くの患者に日常的に行われる侵襲的な医療行為である.そのため,穿刺の痛みや合併症に加え,採血失敗や接遇に対して患者の不満が生じやすいプロセスである.こうした不満は時として苦情として寄せられることがあるが,事実関係を確認する場合に担当者の記憶に頼らざるを得ず,時として患者の主張と食い違う場合がある.特に採血に起因する末梢神経損傷を疑う症例では,穿刺直後の電撃痛の確認の有無や,穿刺箇所と症状の出現範囲が一致していることなどを正確に把握することが,その後の対応にとって極めて重要となる.また,こうした症状の訴えが採血後しばらくしてから患者から申し出られることがあり,患者とスタッフ双方の記憶が時間の経過によってさらに曖昧となって,事実関係の確認が困難になる場合がある.

 採血におけるこうした背景から,われわれは医療安全の確保を目的として,採血の状況を全て監視カメラで録画するシステムを構築した.本稿では,システムの構成ならびに記録した録画データをトラブル対応やスタッフの技量確認など採血室の管理に利用している東京医科歯科大学医学部附属病院(以下,当院)の取り組みについて紹介する.また,録画データの2次利用について今後期待することを述べる.

参考文献

1)深谷昌代:防犯カメラの設置による窃盗犯罪の抑止効果について.環境心理学研究 5:27,2017
2)樋野公宏:駐車場に設置する防犯カメラ等の効果及び利用者等の態度—愛知県内での実験から.都市計画論文集 43.3:763-768,2008
3)IoT推進コンソーシアム,総務省,経済産業省:カメラ画像利活用ガイドブックver2.0.平成30年3月(https://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180330005/20180330005-1.pdf)(2019年9月26日アクセス)
4)秋永理恵,稲葉則和,加藤省吾,他:外来患者への採血業務改善のための採血難易度と採血技術レベルのマッチング.日臨検自動化会誌 42:599-606,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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