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凝固波形解析技術によるフィブリノゲンの量的異常と質的異常の鑑別
著者: 鈴木敦夫1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
ページ範囲:P.386 - P.390
文献概要
私たちが怪我をして出血をすると,その出血を阻止するべく,生体防御反応の1つとして止血反応が起こります.私たちの体には出血を止めるさまざまな要素が備わっていますが,代表的なものは血小板と血液凝固因子です.
血液凝固因子はさまざまな酵素や補酵素,あるいは基質となる蛋白質の集団です.これらはいわゆる“凝固カスケード”に沿って相互作用し,最終的にフィブリンという不溶性の蛋白質を生成します.これが血液凝固です.フィブリンの“もと”になるものがフィブリノゲンであり,フィブリノゲンの量や質は正常な凝固反応を完結させるうえで極めて重要です.言い換えれば,他の凝固因子が十分量備わっていたとしても,フィブリノゲンがなければ血液凝固反応は成立,完結しないことになります.
ここで,フィブリノゲンが“ない”あるいは“欠乏している”ということについて,それが“量の欠乏”なのか,あるいは“質の低下”なのか,もしくはその両方なのかを考える必要があります.これらを見極めるには,これまで複数の検査を組み合わせる必要があり,多くは専門の機関や施設でのみ可能でした.当院では,一般の病院でもこれらが簡単に,かつ迅速に区別できる方法を発明しました.本稿では凝固波形解析を用いたフィブリノゲンの量的・質的異常の鑑別法についてご紹介します.
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