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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻4号

2020年04月発行

文献概要

FOCUS

髄膜癌腫症—髄液検査の重要性

著者: 中洲庸子1

所属機関: 1滋賀医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.398 - P.401

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はじめに

 癌の臨床では診断と治療の進歩,特に分子標的薬を含む癌薬物療法の進歩は目覚ましく,患者の生命予後の延長に寄与している.しかし,中枢神経系(central nervous system:CNS)は血液−脳関門,血液−髄液関門で保護されており,薬物が有効治療域に達しにくい.このため癌診療のなかでCNS合併症の患者が増加しており,特に最近は治療困難で短命とされていた髄膜癌腫症に対する新しい診断と治療が注目されている1)

 髄膜癌腫症は,悪性腫瘍細胞がくも膜・軟膜・脳室上衣,くも膜下腔や脳室内に広がり,髄液内に播種した状態である.髄膜癌腫症には,①固形癌の髄膜播種,②血液腫瘍の髄膜浸潤が含まれる.これらは病態疫学・診断・治療などが異なるため,本稿ではおのおのに分けて最近の知見を概説する.

参考文献

1)中洲庸子:固形癌からの髄膜癌腫症 分子標的治療時代の臨床.Neuro-Oncol進歩 25:10-22,2018
2)日本脳神経外科学会(監),日本脳腫瘍学会(編):脳腫瘍診療ガイドライン2019年版,第2版.金原出版,2019
3)Le Rhun E, Weller M, Brandsma D, et al : EANO-ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up of patients with leptomeningeal metastasis from solid tumours. Ann Oncol 28 (suppl 4):iv84-iv99,2017
4)Guenette JP, Tirumani SH, Keraliya AR, et al : MRI Findings in Patients With Leukemia and Positive CSF Cytology : A Single-Institution 5-Year Experience. AJR Am J Roentgenol 207:1278-1282,2016
5)一般社団法人日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/table.html)(2019年12月3日アクセス)
6)Chamberlain M, Junck L, Brandsma D, et al : Leptomeningeal metastases : a RANO proposal for response criteria. Neuro Oncol 19:484-492,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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