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雑誌文献

検査と技術48巻6号

2020年06月発行

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トピックス

造血制御の破綻による急性骨髄性白血病の発症

著者: 木戸屋浩康12

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所情報伝達分野 2国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ

ページ範囲:P.564 - P.566

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はじめに

 一見すると静的でもある血液系の恒常性の裏には,絶えず繰り返される血液細胞の産生と破壊というダイナミズムが存在する.それを支えているのが,造血幹細胞の休眠と増殖・分化のバランスを制御する緻密で巧妙な分子システムである.生命維持の要でもあるこのシステムは当然ながらロバストに構築されているが,生体を取り巻く過酷なストレスはシステムの破綻を導くことがある.その結果としてもたらされるのが,異常な造血による白血病の発症である.白血病の再発を防ぎ完全寛解を目指すためには,造血系の分子システムを理解して原因となる異常箇所を的確に標的とすることが理想といえる.

 筆者ら1)は,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の新しい発症因子としてRegnase-1を同定した.本稿では,Regnase-1と造血系の分子システムの関係性について解説する.

参考文献

1)Kidoya H, Muramatsu F, Shimamura T, et al : Regnase-1-mediated post-transcriptional regulation is essential for hematopoietic stem and progenitor cell homeostasis. Nat Commun 10:1072,2019
2)菊繁吉謙,宮本敏浩:急性骨髄性白血病の病態,日内会誌 107:1272-1278,2018
3)三谷絹子:急性骨髄性白血病の分子病態と分子標的療法.日内会誌 107:1648-1659,2018
4)Matsushita K, Takeuchi O, Standley DM, et al : Zc3h12a is an RNase essential for controlling immune responses by regulating mRNA decay. Nature 458:1185-1190,2009
5)竹内理:炎症制御におけるRNA分解酵素Regnase-1の役割.日薬理誌 145:129-133,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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