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造血制御の破綻による急性骨髄性白血病の発症
著者: 木戸屋浩康12
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所情報伝達分野 2国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ
ページ範囲:P.564 - P.566
文献購入ページに移動一見すると静的でもある血液系の恒常性の裏には,絶えず繰り返される血液細胞の産生と破壊というダイナミズムが存在する.それを支えているのが,造血幹細胞の休眠と増殖・分化のバランスを制御する緻密で巧妙な分子システムである.生命維持の要でもあるこのシステムは当然ながらロバストに構築されているが,生体を取り巻く過酷なストレスはシステムの破綻を導くことがある.その結果としてもたらされるのが,異常な造血による白血病の発症である.白血病の再発を防ぎ完全寛解を目指すためには,造血系の分子システムを理解して原因となる異常箇所を的確に標的とすることが理想といえる.
筆者ら1)は,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の新しい発症因子としてRegnase-1を同定した.本稿では,Regnase-1と造血系の分子システムの関係性について解説する.
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