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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻7号

2020年07月発行

文献概要

FOCUS

輸入感染症—耐性菌を中心に

著者: 柴山恵吾1

所属機関: 1国立感染症研究所細菌第二部

ページ範囲:P.684 - P.687

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はじめに

 世界では新たな薬剤耐性菌が次々と出現し拡散している.海外では,日本国内でまれな薬剤耐性菌がまん延している地域もある.薬剤耐性菌は医療アクセスがよい先進国だけでなく,発展途上国でも深刻な問題となっている.発展途上国で薬剤耐性菌が多いのは,さまざまな抗菌薬が処方箋なしで店頭で購入できるなど抗菌薬の適正使用があまりできていないことや,病院のなかでの院内感染対策が十分でないことなどが原因とされる.

 薬剤耐性はさまざまな菌種で存在するが,本稿では海外から持ち込まれる可能性が高いもので日和見感染の原因となり,さらに感染症を発症した場合に有効な抗菌薬が極めて限られるなど,特に注意を要する薬剤耐性菌に焦点を当てる.このような薬剤耐性菌の頻度について,日本,ならびに海外の例として中国,米国,英国,イタリア,スウェーデンの状況を紹介し,海外との比較から日本の特徴を述べるとともに,海外滞在歴のある患者を受け入れる場合に輸入感染症として持ち込みに特に留意すべき薬剤耐性菌について説明する.

参考文献

1)厚生労働省:厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)(https://janis.mhlw.go.jp/index.asp)(2020年3月3日アクセス)
2)China Antimicrobial Resistance Surveillance System(CARSS)(http://www.carss.cn)(2020年3月3日アクセス)
3)Centers for Disease Control and Prevention(CDC):Antibiotic Resistance & Patient Safety Portal(https://arpsp.cdc.gov)(2020年3月3日アクセス)
4)European Centre for Disease Prevention and Control(ECDC):European Antimicrobial Resistance Surveillance Network(EARS-Net)(https://www.ecdc.europa.eu/en/about-us/partnerships-and-networks/disease-and-laboratory-networks/ears-net)(2020年3月3日アクセス)
5)国立国際医療研究センター国際感染症センター:医療機関における海外からの高度薬剤耐性菌の持ち込み対策に関するガイダンス(http://dcc.ncgm.go.jp/prevention/resource/resource05.pdf)(2020年3月3日アクセス)
6)日本環境感染学会:多剤耐性グラム陰性菌感染制御のためのポジションペーパー,第2版(http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=6)(2020年3月3日アクセス)
7)日本感染症学会・日本臨床微生物学会:先進的感染症検査マップ(http://www.kansensho.or.jp/modules/idmap/)(2020年3月3日アクセス)
8)国立国際医療研究センター:薬剤耐性(AMR)ワンヘルスプラットフォーム(https://amr-onehealth-platform.ncgm.go.jp/home)(2020年3月3日アクセス)
9)World Health Organization(WHO):Global Antimicrobial Resistance Surveillance System(GLASS)(https://www.who.int/glass/en/)(2020年3月3日アクセス)
10)The Center for Disease Dynamics, Economics & Policy(CDDEP)(https://cddep.org)(2020年3月3日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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