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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻8号

2020年08月発行

文献概要

Q&A 読者質問箱

脂肪染色を行う際の凍結標本作製になぜショ糖液を使用するのですか?

著者: 山里勝信1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院病理診断センター

ページ範囲:P.830 - P.833

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Q 脂肪染色を行う際の凍結標本作製になぜショ糖液を使用するのですか?

A 凍結標本作製の目的としては迅速組織診断,脂肪染色,蛍光抗体法,酵素抗体法などの免疫・組織化学染色があり,その作製方法には浸漬凍結法であるドライアイス・アセトン法,ドライアイス・イソペンタン法,液体窒素法などが知られている.きれいな凍結標本作製を行うには氷晶ができないように凍結標本作製の際,組織はできるだけ迅速に凍結させることが重要とされている1,2).凍結標本は生の組織から行う場合とホルマリン固定された組織で行う場合がある.ホルマリン固定検体から行う場合はショ糖(スクロース)やHoltのガムスクロース法3)で前処理を行う方法が知られており,これらの前処理は凍結の際にできる氷晶形成を抑制する働きがある.

参考文献

1)病理技術研究会:基礎病理技術学.病理技術研究会,2013
2)日本臨床衛生検査技師会(監):JAMT技術教本シリーズ 病理検査技術標本.丸善出版,pp82-85,2017
3)Holt SJ : Factors Governing The Validity of staining methods for enzymes, and their bearing upon the gomori acid phosphatase technique. Expl Cell Res 7:1-27,1959
4)僧都博:生細胞の凍結による障害と保護の機構.化と生 18:78-87,1980
5)藤川清三:凍結に植物細胞はどのように適応するか.化と生 34:656-666,1996
6)藤川清三:細胞レベルでの凍結障害のメカニズム.日本冷凍空調学会論文集 4:11-26,1987
7)藤川清三,春日純:過冷却促進物質.検と技 36:546-549,2008
8)田中正敏:水とヒト:生理的立場から.人間と生活環境 6:85-91,1999
1)松原修,鴨志田伸吾,大河戸光章,他:最新臨床検査学講座 病理学/病理検査学.医歯薬出版,pp232-237,pp271-276,2018
2)水口國雄(編):Medical Technology別冊 最新染色法のすべて.医歯薬出版,pp42-49,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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