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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻8号

2020年08月発行

臨床医からの質問に答える

異型造血幹細胞移植後の輸血対応について教えてください.

著者: 廣瀬有香1 名倉豊1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院輸血部

ページ範囲:P.837 - P.841

文献概要

はじめに

 造血幹細胞は赤血球や白血球,血小板などの血液中の細胞のもととなる細胞であり,成人では主に骨髄中に存在している.造血幹細胞移植はその細胞源から骨髄移植,末梢血幹細胞移植,臍帯血移植の3種類に分類され,さらに患者自身から採取された造血幹細胞を移植する自家造血幹細胞移植,他人由来の造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植,一卵性双生児間の同型造血幹細胞移植に分類される.

 同種造血幹細胞移植の場合,拒絶反応や移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)が生じる可能性があるため,ドナー選択には移植免疫反応に深く関与するヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)の型が可能な限り一致することが求められるが,ABOやRhD血液型を一致させる必要はない.ドナーの血液型がレシピエントの血液型と一致していない場合,移植後にABOやRhD血液型が変化するため,血液型が一致しているときの移植と比べ,血液型検査や輸血用血液製剤の血液型選択に注意を要する場合がある.本稿では,このような血液型不適合造血幹細胞移植が行われた場合の移植後の血液型の変化とそれに伴う血液製剤の血液型選択について述べる.

参考文献

1)日本臨床衛生検査技師会(監):輸血・移植検査技術教本.丸善出版,2016
2)厚生労働省医薬食品局血液対策課:血液製剤の使用指針,平成17年9月(平成26年11月一部改正)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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