文献詳細
文献概要
増刊号 学会発表・論文執筆はもう怖くない! 臨床検査技師のための研究入門 6章 論文執筆のアドバイス
症例報告の基本的な書きかた
著者: 大﨑博之1
所属機関: 1神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域
ページ範囲:P.976 - P.979
文献購入ページに移動症例報告(case report)は,原著論文などに比べ過小評価される傾向にある.これは,実験や数十例以上の症例が必要な原著論文と異なり,1〜数例の症例があれば執筆できること,海外学術誌の多くが症例報告を掲載しなくなったこと注などが原因と考える.しかし,希少症例や例外的な所見を呈した症例などから得られた教訓・知見を論文にして,情報を発信することは臨床的に重要な意味をもつ.そもそも,原著論文と症例報告は役割が違うものであり,比較する対象ではない.
症例報告は,医療現場で働く臨床検査技師が初めて書く論文のスタイルとして最適と考える.その理由として,日々の業務のなかでまれな症例や例外的な所見を呈した症例などに遭遇することは少なくないこと,特別な機材や試薬がなくとも執筆できることなどがある.ただし,希少症例といってもある程度はすでに症例報告として論文にされている場合が多い.自身が経験した症例が既報の症例報告の内容と同じであれば,論文にすることは困難である.いずれにしろ症例報告においても論文とするからには,なんらかの教訓や新たな知見が必要となる1).
参考文献
掲載誌情報