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増刊号 学会発表・論文執筆はもう怖くない! 臨床検査技師のための研究入門 7章 成功と失敗から学ぼう!
—私の成功・失敗談②—困ったときは誰かが助けてくれる! 研究仲間を大切にしよう!
著者: 桝谷亮太1
所属機関: 1大阪医科大学附属病院中央検査部
ページ範囲:P.1020 - P.1021
文献購入ページに移動私の研究領域は検査血液学,血栓止血学,膠原病アレルギー学と,どちらかといえば特定の疾患や領域を深くというより,ルーチン業務で疑問に感じた症例や現象を対象としている.そのため,日頃から疑問に感じたことは自分が納得できるまで検証しようと心掛けている.
そんな私の研究生活のなかで転機となったのが,APTT試薬の違いが接触因子欠乏症の診断に与える影響に関する研究で2018(平成30)年度の日本検査血液学会学術賞を受賞できたことであった.それまでは認知度の低かった分野が,私の研究によって少しずつ認知されるようになったと教えていただいた際は,社会に貢献することができたとうれしく感じたのを覚えている.また,私のなかでこの研究成果が自信につながった理由は,その研究で仮説を証明するために行った実験が,血栓止血学やルーチン業務には全く関係のない,細胞培養実験で培ったアイデアから着想できたことであった.一見,無関係に思えることが,新しいアイデアを生み出すために必要な布石になっているのだと思うと,普段のルーチン業務や研究活動にも励みが出る.日頃からアイデアを頭のなかで練りながら,何か新しいことができないかと考えながら物事を見ることが,私にとっての研究のモチベーションを保つ秘訣である.
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