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文献詳細

雑誌文献

検査と技術48巻9号

2020年09月発行

文献概要

増刊号 学会発表・論文執筆はもう怖くない! 臨床検査技師のための研究入門 7章 成功と失敗から学ぼう!

—私の成功・失敗談⑤—見極める力・取りこぼさない力の重要性

著者: 田崎雅義1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部構造機能解析学講座

ページ範囲:P.1026 - P.1027

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新規アミロイド共存蛋白質の同定と機能解明

 2017年,筆者らは,脳アミロイドアンギオパチーにおける新規アミロイド共存蛋白質としてSRPX1(sushi repeat-containing protein 1)を同定し,本病態におけるその役割を明らかにした1).脳アミロイドアンギオパチーは,アミロイドベータ(amyloid β:Aβ)蛋白質により形成されたアミロイド線維が脳血管に沈着し,その結果として脆弱化した血管が破綻して脳出血を呈する加齢性の疾患である.超高齢社会の到来とともに,患者数は増加の一途をたどっているが,いまだ本疾患の早期診断法・予防法・治療法の開発には至っていない.そのため,本疾患の病態を明らかとし,これらの開発につなげることが求められている.

 そこで筆者らは,本疾患に関与する新規分子を探索し,その機能を明らかとすることを目的として研究に取り組んだ.解析手法を簡単に説明すると,ホルマリン固定脳組織切片からlaser microdissection(顕微鏡型の装置で目的領域を分取する装置)を用いてアミロイド陽性部位を採取し,組織を可溶化後,LC-MS/MS(liquid chromatography-tandem mass spectrometry,質量分析装置)で組織に含まれる蛋白質を網羅的に解析する.そして,コントロール群と比較することで病態への関与が疑われる分子をピックアップした.無数の蛋白質が同定されたが,筆者らはそのなかからSRPX1に絞り研究を行い,本蛋白質がAβ誘導性の血管変性に関与していることを見いだした.

参考文献

1)Inoue Y, Ueda M, Tasaki M, et al : Sushi repeat-containing protein 1 : a novel disease-associated molecule in cerebral amyloid angiopathy. Acta Neuropathol 134:605-617,2017
2)Tasaki M, Ueda M, Obayashi K, et al : Effect of age and sex differences on wild-type transthyretin amyloid formation in familial amyloidotic polyneuropathy : a proteomic approach. Int J Cardiol 170:69-74,2013
3)Tasaki M, Ueda M, Matsumoto K, et al : Clinico-histopathological and biochemical analyses of corneal amyloidosis in gelatinous drop-like corneal dystrophy. Amyloid 22:67-69,2015
4)Tasaki M, Ueda M, Hoshii Y, et al : A novel age-related venous amyloidosis derived from EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1. J Pathol 247:444-455,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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