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コリスチン耐性機序と薬剤感受性試験
著者: 上地幸平1
所属機関: 1琉球大学病院検査・輸血部細菌検査室
ページ範囲:P.8 - P.10
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サイクリックポリペプチド系抗菌薬の1つであるコリスチン(colistin:CL)は1949年にわが国でPaenibacillus(Bacillus)polymyxaから発見された1).陽性荷電かつ疎水性を示すCLはグラム陰性菌の細胞壁外膜を構成するリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)類に結合し,外膜の架橋形成・安定化に関与しているCa2+・Mg2+を置換し,外膜そのものを破壊することで抗菌活性を示す.
CLは,主にシュードモナス属やアシネトバクター属,腸内細菌科などのグラム陰性菌に対して有効であるが,プロテウス属,プロビデンシア属,セラチア属,エドワードジエラ属,モルガネラ属,ハフニア属は自然耐性を示す.近年,カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriales:CRE)の拡散・増加に伴い,多剤耐性菌感染症に対するサルベージ療法の抗菌薬として再注目されている.本稿では,CLの耐性機序および薬剤感受性試験について概説する.
サイクリックポリペプチド系抗菌薬の1つであるコリスチン(colistin:CL)は1949年にわが国でPaenibacillus(Bacillus)polymyxaから発見された1).陽性荷電かつ疎水性を示すCLはグラム陰性菌の細胞壁外膜を構成するリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)類に結合し,外膜の架橋形成・安定化に関与しているCa2+・Mg2+を置換し,外膜そのものを破壊することで抗菌活性を示す.
CLは,主にシュードモナス属やアシネトバクター属,腸内細菌科などのグラム陰性菌に対して有効であるが,プロテウス属,プロビデンシア属,セラチア属,エドワードジエラ属,モルガネラ属,ハフニア属は自然耐性を示す.近年,カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriales:CRE)の拡散・増加に伴い,多剤耐性菌感染症に対するサルベージ療法の抗菌薬として再注目されている.本稿では,CLの耐性機序および薬剤感受性試験について概説する.
参考文献
1)二木芳人,館田一博,藤村茂,他:コリスチンの適正使用に関する指針.日化療会誌 60:446-468,2012
2)Olaitan AO, Morand S, Rolain JM : Mechanisms of polymyxin resistance : acquired and intrinsic resistance in bacteria. Front Microbiol 5:643,2014
3)Liu YY, Wang Y, Walsh TR, et al : Emergence of plasmid-mediated colistin resistance mechanism MCR-1 in animals and human beings in China : a microbiological and molecular biological study. Lancet Infect Dis 16:161-168,2016
4)Chew KL, La MV, Lin RTP, et al : Colistin and Polymyxin B Susceptibility Testing for Carbapenem-Resistant and mcr-Positive Enterobacteriaceae : Comparison of Sensititre, MicroScan, Vitek 2, and Etest with Broth Microdilution. J Clin Microbiol 55:2609-2616,2017
5)Simner PJ, Bergman Y, Trejo M, et al : Two-Site Evaluation of the Colistin Broth Disk Elution Test To Determine Colistin In Vitro Activity against Gram-Negative Bacilli. J Clin Microbiol 57:e01163-e01118,2019
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