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文献詳細

雑誌文献

検査と技術49巻1号

2021年01月発行

文献概要

FOCUS

日常検査に活かすための症例報告の読み方

著者: 國松淳和1

所属機関: 1医療法人社団永生会南多摩病院総合内科・膠原病内科

ページ範囲:P.16 - P.19

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はじめに

 この雑誌に目を通すということは,ある程度向学意識が高く,普段から活字を読むものと思われる.中には平素から論文を読みこなしている人もいるかもしれない.

 エビデンスレベルという言葉がある.図1のようなものを見たことがあると思われる.臨床で何かを学ぼうというとき,このなかのどれを読んで勉強するだろうか? やはりエビデンスレベルが高いメタアナリシスやランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)だろうか.症例対照研究など当てにならない.そう思うだろうか.

 これに対する答えは実はもう出ていて,エビデンスベーストメディシン(evidence-based medicine)とは患者に合わせて考える方法論のことをいうのであって,根拠そのものではない,というところにある.図1も,単に性質を紹介しているだけで,例えば専門家の意見や症例報告の“文脈を加味した意義”を否定したり低めたりしているものではないのである.ただ,図1がまさにそうだが,“低い/高い”で言われると,なんとなく低いほうを軽視してしまうような刷り込みがなされてしまう.

 また,直感的にも,「何か1つのテーマについてしっかり勉強しよう!」と思ったら,おそらく標準的なレベルで総論的な原理原則を学びたいとまずは思うであろう.症例報告などはその対極にあるわけで,個別性と具体性が強すぎるように感じてしまうのだろう.有名な図1のせいもあって.

参考文献

1)國松淳和:苦手克服 野獣のリアル勉強法(第8回)「私と推論」—不明熱・不定愁訴のような診断の難しい症状・疾患をどう診断しているか.総合診療 27:1124-1128,2017
2)國松淳和:はじめての学会発表 症例報告—レジデントがはじめて学会で症例報告をするための8 scene.中山書店,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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