検査と技術49巻1号

2021年01月発行

技術講座 病理・生理

—step up編—乳癌サブタイプと乳癌病理および乳腺エコーとの関係性

著者： 山口倫¹² 三原勇太郎² 平井良武³ 山口美樹⁴ 田中眞紀⁴ 矢野博久²

所属機関： ¹久留米大学医学部附属医療センター病理診断科・臨床検査室 ²久留米大学医学部病理学講座 ³久留米総合病院臨床検査科診療部 ⁴久留米総合病院外科

ページ範囲：P.48 - P.54

Point

●臨床の現場で，乳癌は網羅的遺伝子解析によるサブタイプに基づいた個別化治療が進んでいます．

●サブタイプとは，主にホルモン受容体であるエストロゲン受容体（ER）陽性（Luminal）乳癌，HER2陽性乳癌，ER陰性・PgR陰性・HER2陰性のトリプルネガティブ（TN）乳癌です．

●治療（サブタイプ）と組織型および画像診断は別々と考えられていましたが，近年これらの関係性が判明してきています．

●多くの腫瘍の形状は生物学的特性であるサブタイプで規定されており，超音波画像にも反映されます．

参考文献

1）Perou CM, Sørlie T, Eisen MB, et al : Molecular portraits of human breast tumours. Nature　406：747-752，2000

2）Sørlie T, Perou CM, Tibshirani R, et al : Gene expression patterns of breast carcinomas distinguish tumor subclasses with clinical implications. Proc Natl Acad Sci U S A　98：10869-10874，2001

3）山口倫：乳癌サブタイプと乳腺病理—これからの画像診断，乳腺診療のために．アトムス社，2019

4）山口倫，森田道，田中眞紀：サブタイプの理解．高橋雅士（監），角田博子（編）：新　乳房画像診断の勘ドコロ．メジカルビュー社，pp42-45，2016

5）山口倫，森田道，田中眞紀：病理・腫瘍形態（肉眼型）から考えるサブタイプ別画像所見．乳癌の臨　33：41-45，2018

6）山口倫，赤司桃子，森田道，他：最新乳癌取扱い規約分類と他分類との関係性—臨床に役立つ融合乳腺病理診断を目指して．日臨細胞会九州会誌　50：9-12，2019

7）山口倫，森田道，赤司桃子，他：サブタイプ別浸潤癌の画像診断とその鑑別—病理診断．臨放　64：449-456，2019

8）Akashi M, Yamaguchi R, Kusano H, et al : Diverse histomorphology of HER2-positive breast carcinomas based on differential ER expression. Histopathology　76：560-571，2020