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文献詳細

雑誌文献

検査と技術49巻1号

2021年01月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

Neisseria meningitidisの同定—非病原性Neisseria属菌との鑑別

著者: 中山麻美1

所属機関: 1山形大学医学部附属病院検査部微生物検査室

ページ範囲:P.60 - P.63

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はじめに

 Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)による感染症は,年間20〜40例程度とわが国ではまれであるが,2011年に宮崎県の高校寮で集団感染した事例1)や2015年に山口県で開催された世界スカウトジャンボリーに参加した4名(北スコットランド隊の3名とスウェーデン隊の1名)に発症した事例1)は記憶に新しい.

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)において侵襲性髄膜炎菌感染症は5類感染症(全数把握対象)に定められている.したがって,髄液や血液などの無菌部位から検出された場合は,直ちに報告することが義務付けられている.また,濃厚接触者には予防内服が推奨されているため,治療のみならず感染管理の面でも,迅速かつ正確に菌種の同定を行うことが,われわれ臨床微生物検査技師に求められる.そこで,本稿ではN. meningitidisの同定ポイントについて解説する.

参考文献

1)国立感染症研究所:侵襲性髄膜炎菌感染症 2013年4月〜2017年10月.IASR 39:1-2,2018
2)Jorgensen JH, Pfaller MA, Carroll KC, et al (Eds) : Neisseria. Manual of Clinical Microbiology, 11th ed. ASM Press, pp635-651, 2015
3)Cunningham SA, Mainella JM, Patel R : Misidentification of Neisseria polysaccharea as Neisseria meningitidis with the use of matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry. J Clin Microbiol 52:2270-2271,2014
4)服部佳奈子,木部泰志,諸熊由子,他:VITEK MSでNeisseria meningitidisと誤同定されたNeisseria polysacchareaとNeisseria meningitidisとの鑑別法およびVITEK MSの同定精度の検証.医療検査と自動化 45:222-229,2020
5)Kawahara-Matsumizu M, Yamagishi Y, Mikamo H : Misidentification of Neisseria cinerea as Neisseria meningitidis by Matrix-Assisted Laser Desorption /Ionization Time of Flight Mass Spectrometry (MALDI-TOF MS). Jpn J Infect Dis 71:85-87,2018
6)Unalan-Altintop T, Karagoz A, Hazirolan G : A diagnostic challenge in clinical laboratory : Misidentification of Neisseria subflava as Neisseria meningitidis by MALDI-TOF MS. Acta Microbiol Immunol Hung 30:1-3,2020
7)大楠清文:Neisseria meningitidis.「Medical Technology」別冊 いま知りたい 臨床微生物検査実践ガイド—珍しい細菌の同定・遺伝子検査・質量分析.医歯薬出版,pp39-46,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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