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血清蛋白分画の読み方—BJPを見落とさない
著者: 井本真由美1
所属機関: 1近畿大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.1274 - P.1278
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血清蛋白分画は,血中蛋白質異常のスクリーニング検査として有用であり1),蛋白の電荷の違いにより,アガロースゲル電気泳動法やセルロースアセテート膜電気泳動法では5分画〔アルブミン(albumin:ALB),α1,α2,β,γ〕に分離される.近年検査室で導入されてきているキャピラリー電気泳動法では,β分画がさらに2分画されるため6分画に分離される.各分画の分画比とTP(total protein)濃度から換算される蛋白量と,波形の形状から病態を把握することができる.
血清蛋白分画の最大の目的として,M蛋白(monoclonal protein)の検出がある2).M蛋白には,IgG型,IgA型,IgM型,IgD型およびIgE型の他,免疫グロブリンのL鎖(light chain)が異常増加するベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein:BJP)型がある.BJPの分子量は23〜45kDaであり,2量体を形成していることが多いが,分子量が小さいことから,血中に産生されてもすぐに尿に排泄される.本稿では,血清蛋白分画において,明瞭なM蛋白として検出され難いBJP型を見落とさないためのポイントについてレビューする.
血清蛋白分画は,血中蛋白質異常のスクリーニング検査として有用であり1),蛋白の電荷の違いにより,アガロースゲル電気泳動法やセルロースアセテート膜電気泳動法では5分画〔アルブミン(albumin:ALB),α1,α2,β,γ〕に分離される.近年検査室で導入されてきているキャピラリー電気泳動法では,β分画がさらに2分画されるため6分画に分離される.各分画の分画比とTP(total protein)濃度から換算される蛋白量と,波形の形状から病態を把握することができる.
血清蛋白分画の最大の目的として,M蛋白(monoclonal protein)の検出がある2).M蛋白には,IgG型,IgA型,IgM型,IgD型およびIgE型の他,免疫グロブリンのL鎖(light chain)が異常増加するベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein:BJP)型がある.BJPの分子量は23〜45kDaであり,2量体を形成していることが多いが,分子量が小さいことから,血中に産生されてもすぐに尿に排泄される.本稿では,血清蛋白分画において,明瞭なM蛋白として検出され難いBJP型を見落とさないためのポイントについてレビューする.
参考文献
1)井本真由美,山田俊幸,上硲俊法:血清蛋白分画検査を院内で実施する意義.電気泳動 61:74-78,2017
2)山田俊幸:臨床検査によるM蛋白血症の診断と評価.臨検 58:1569-1578,2014
3)井本真由美,松村到,船内正憲,他:尿タンパク試験紙にBence Jonesタンパクが反応することの検証.臨化 43:217-225,2014
4)Putnam FW, Easley CW, Lynn LT, et al : The heat precipitation of Bence-Jones proteins. I. Optimum conditions. Arch Biochem Biophys 83:115-30,1959
5)Imoto M, Watanabe K, Yoshida K, et al : Glycosylated Bence Jones Protein with Poor Thermal Reactivity in Heat Coagulation Tests. Clin Lab 66:2365-2369,2020
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