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臨床医からの質問に答える
甲状腺の細胞診で“検体不適正”の判定が多い原因や改善法について教えてください.
著者: 永野友佳里1 鈴木彩菜2
所属機関: 1東京都がん検診センター検査科 2隈病院病理診断科
ページ範囲:P.1282 - P.1286
文献購入ページに移動甲状腺穿刺吸引細胞診は簡便で合併症が少なく,診断精度が針生検と同等であることから,甲状腺結節の術前診断法として広く普及しています.高い診断精度の実現には,十分な量の細胞採取と観察しやすい標本作製が重要です.
「甲状腺癌取扱い規約 第8版」1)では,表1の基準を満たす場合に“検体不適正”と判定し,その割合が細胞診検査総数の10%以上ある場合には,採取法や標本作製法についての検討が必要であると明記されています.しかし実際のところ,検体不適正例の多さに悩んでいる施設は少なくありません.甲状腺は血管・神経・気管などに囲まれているために穿刺ルートが制限されることに加え,甲状腺結節は血流が多く,石灰化を伴いやすいので,他の臓器と比べて“検体不適正”となりやすいのです.本稿では,今回の質問である“検体不適正”の原因と改善法について解説します.
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