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文献詳細

雑誌文献

検査と技術49巻12号

2021年12月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

凝固線溶検査—小さなフィブリンの析出に注意

著者: 下村大樹1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床検査部

ページ範囲:P.1352 - P.1356

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はじめに

 凝固線溶検査は,血液の固まる度合い(凝固),その固まりが溶けた程度(線溶)を調べる検査である.そのため,凝固線溶検査の採血管(凝固採血管)は,抗凝固剤にクエン酸ナトリウム溶液を使用し,血液が固まるために必要なカルシウムイオンとキレートを生じさせて,その作用を失わせることにより,血液を固まらなくしている.これにより,試薬を添加した時点からの凝固機能,血管内で起こっている線溶の状態を計測することができる.

 しかし,採血困難な場合などに血液が固まってしまうこと(フィブリンの析出)がある.それは,血管に採血針がスムーズに入らず,血管外組織や血管内皮下の線維芽細胞にある組織因子が血液中に流入し,凝固活性化が生じることにより起こる.フィブリンの析出は,凝固線溶検査データに影響を及ぼすため,臨床検査技師がフィブリンを発見し,再採血を依頼する必要がある.大きなフィブリンは肉眼的に見つけやすいが,小さなフィブリンを見つけるのは容易ではない.本稿では,小さなフィブリンの析出を発見するポイントについて解説する.

参考文献

1)小宮山豊:臨床検査室から臨床へ(データとともに情報を).日血栓止血会誌 19:474-477,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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