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文献詳細

雑誌文献

検査と技術49巻2号

2021年02月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈遺伝子〉

適切な遺伝子関連検査実施のための留意点(前編)

著者: 林邦彦1

所属機関: 1株式会社池田理化遺伝子関連検査技術部

ページ範囲:P.156 - P.161

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はじめに

 近年,分子生物学的解析技術の進歩により,ますます膨大な遺伝情報が蓄積されてきた.そしてゲノムや遺伝子情報の活用が進み,それらの情報を利用した製品開発は,医薬品,診断薬・診断情報サービス,食品などさまざまな分野で行われ,われわれはさまざまな恩恵を受けている.それに伴い,遺伝子関連検査における標準化や精度保証についても求められる時代を迎えている.また,2018年12月1日の法改正の施行により,検体検査の分類において「遺伝子関連・染色体検査」と明確に位置付けられ,さらに遺伝子関連検査は“病原体核酸検査”,“体細胞遺伝子検査”,“生殖細胞系列遺伝子検査”と分類・定義されている(表1)1)

 遺伝子関連検査における測定結果の精度保証としては“測定前プロセス”,“測定プロセス”,“測定後プロセス”の各工程の品質が重要視されている.特に,測定前プロセスにおける作業要因は測定精度に最も大きく影響を与えるとされている.それは検査室の環境・設備や消耗品・備品,手技なども含まれるが,検体の採取・保存・搬送・前処理・核酸抽出などが関与する(図1)2).現在では前処理や核酸抽出の工程はキット化や自動化が進み,いわゆる“ブラックボックス化”しつつある.しかしながら,検体を扱う場合はまだまだ用手法であることが多く,手技として基本操作の習得が重要である.それは実際の遺伝子操作の工程においてエアロゾルの発生が伴うため(表2)3),それらをいかに意識し最小限度に抑えるかやコンタミネーションを防止するための操作をいかに行うかが重要である.それによって,偽陽性・偽陰性の発生防止やバイオセーフティの観点からの感染防止などにつながる.

 そこで今回,遺伝子関連検査の適切な実施のための留意点について,前編・後編に分け,具体的な器具や検体処理の例を挙げて説明する4)

参考文献

1)日本遺伝子分析科学同学院遺伝子分析科学認定士制度委員会(編):遺伝子検査技術—遺伝子分析科学認定士テキスト 改訂第2版.宇宙堂八木書店,2016
2)JCCLS遺伝子関連検査標準化専門委員会:遺伝子関連検査 検体品質管理マニュアル(承認文書).JCCLS日本臨床検査標準協議会,2011
3)北村敬,小松俊彦(監):実験室バイオセーフティ指針(WHO 第3版).バイオメディカルサイエンス研究会,2006
4)宮地勇人,福地邦彦,林邦彦(監):臨時増刊第9号 遺伝子関連検査.公益社団法人日本臨床検査同学院,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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