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増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック 総論 基本的な技術と操作法
試験管培地を用いた腸内細菌目細菌の簡易同定
著者: 杵渕貴洋1
所属機関: 1社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院臨床検査科
ページ範囲:P.222 - P.229
文献購入ページに移動はじめに
細菌の菌種同定法としては,一般的に簡易同定キットや自動機器を用いた方法が用いられるが,近年においては質量分析法〔マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(matrix-assisted laser desorption/ionization-time of flight mass spectrometer:MALDI-TOF MS)〕が同定法のツールとして加わった.しかしながら,これらの方法は菌種によっては誤同定が起こりうることがあり,場合によっては確認試験を実施する必要がある.特に腸内細菌目細菌(Enterobacterales)では試験管培地を確認試験の1つとして使用することが可能であり,数種類の試験管培地を使用することで正しい菌種同定へとつながる.また,上記のような検査機器を用いなくても,平板培地上に発育したコロニーから菌種を想定し,5種類程度の試験管培地を用いることで腸内細菌目細菌の簡易同定が可能である.
本稿では,主に北海道社会事業協会富良野病院(以下,当院)で常備している試験管培地に焦点を当てて,各種機器や特殊な試薬を使用しなくても,その反応性から簡易同定が可能な腸内細菌目細菌の同定について解説する.
細菌の菌種同定法としては,一般的に簡易同定キットや自動機器を用いた方法が用いられるが,近年においては質量分析法〔マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(matrix-assisted laser desorption/ionization-time of flight mass spectrometer:MALDI-TOF MS)〕が同定法のツールとして加わった.しかしながら,これらの方法は菌種によっては誤同定が起こりうることがあり,場合によっては確認試験を実施する必要がある.特に腸内細菌目細菌(Enterobacterales)では試験管培地を確認試験の1つとして使用することが可能であり,数種類の試験管培地を使用することで正しい菌種同定へとつながる.また,上記のような検査機器を用いなくても,平板培地上に発育したコロニーから菌種を想定し,5種類程度の試験管培地を用いることで腸内細菌目細菌の簡易同定が可能である.
本稿では,主に北海道社会事業協会富良野病院(以下,当院)で常備している試験管培地に焦点を当てて,各種機器や特殊な試薬を使用しなくても,その反応性から簡易同定が可能な腸内細菌目細菌の同定について解説する.
参考文献
1)小栗豊子,柄澤利子,小野恵美:微生物検査の基本技術.臨と微生物 37:295-300,2010
2)柄澤利子:同定検査.臨と微生物 44:53-67,2017
3)小栗豊子(編):臨床微生物検査ハンドブック,第5版.三輪書店,2017
4)吉田眞一,柳雄介,吉開泰信(編):戸田新細菌学,改訂34版.南山堂,2013
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