文献詳細
増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法 グラム陽性桿菌
バチルス属菌(炭疽菌,セレウス菌)—Bacillus anthracis,Bacillus cereus
著者: 大瀧博文1
所属機関: 1関西医療大学保健医療学部臨床検査学科
ページ範囲:P.280 - P.282
文献概要
炭疽は炭疽菌(Bacillus anthracis)により引き起こされる感染症である.炭疽は家畜や野生動物,ヒトに発症する人獣共通感染症であり,主に南ヨーロッパ,東ヨーロッパ,中央アジア,中央アフリカなどで発生を認める.特に,途上国および家畜衛生環境の整っていない国に多い.日本における炭疽の発生は1994年を最後に認めていないが,2001年に米国で発生したバイオテロ事件のような不測の事態にも備えて,臨床検査技師として診断および臨床微生物検査に関する最低限の知識をもち合わせておくことは重要と考える.
一方,食中毒の原因菌として知られるセレウス菌(B. cereus)は,環境中に広く存在し,食中毒を除き本来は低病原性の日和見病原菌として認識されているが,近年,高病原性株の存在も報告されている.B. cereusは日常検査にてしばしば認めるため,臨床的意義および微生物学的所見はしっかりと把握しておきたい.
参考文献
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