文献詳細
文献概要
増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック 各論 菌種別の培養・同定方法 グラム陰性桿菌
腸管出血性大腸菌—Enterohemorrhagic Escherichia coli(EHEC)
著者: 磯崎将博1
所属機関: 1天草地域医療センター検査部
ページ範囲:P.300 - P.302
文献購入ページに移動Summary
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症に関する世界で最初の報告は,1982年の米国ミシガン州とオレゴン州で発生したハンバーガーを原因とするO157:H7集団感染である1).日本においては1990年に埼玉県の幼稚園で井戸水汚染による集団感染が発生し2),1996年には全国的な発生が確認され社会問題となった.以降,EHECのなかでも,とりわけO157については多くの医療機関でも積極的に検査が実施されるようになった.一方で,O157以外の血清型については見落とされることも多い.そこで本稿では,従来のEHEC検査の問題点に触れ,EHECを見落とさないためのポイントを解説する.
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症に関する世界で最初の報告は,1982年の米国ミシガン州とオレゴン州で発生したハンバーガーを原因とするO157:H7集団感染である1).日本においては1990年に埼玉県の幼稚園で井戸水汚染による集団感染が発生し2),1996年には全国的な発生が確認され社会問題となった.以降,EHECのなかでも,とりわけO157については多くの医療機関でも積極的に検査が実施されるようになった.一方で,O157以外の血清型については見落とされることも多い.そこで本稿では,従来のEHEC検査の問題点に触れ,EHECを見落とさないためのポイントを解説する.
参考文献
1)Riley LW, Remis RS, Helgerson SD, et al : Hemorrhagic colitis associated with a rare Escherichia coli serotype. N Engl J Med 308:681-685,1983
2)城宏輔:埼玉県某幼稚園で流行したE. coli O157:H7による出血性大腸炎.臨と微生 18:457-465,1991
3)磯崎将博,小林治,星子文香,他:下痢症患者から分離された下痢原性大腸菌の各種病原因子の保有状況について.日臨微生物誌 26:24-29,2016
4)一般社団法人日本感染症学会,公益社団法人日本化学療法学会,JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会腸管感染症ワーキンググループ:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015—腸管感染症.日化療会誌 64:31-65,2016
5)Safdar N, Said A, Gangnon RE, et al : Risk of hemolytic uremic syndrome after antibiotic treatment of Escherichia coli O157 : H7 enteritis : a meta-analysis. JAMA 288:996-1001,2002
6)Shiomi M, Togawa M, Fujita K, et al : Effect of early oral fluoroquinolones in hemorrhagic colitis due to Escherichia coli O157 : H7. Pediatr Int 41:228-232,1999
7)Ikeda K, Ida O, Kimoto K, et al : Effect of early fosfomycin treatment on prevention of hemolytic uremic syndrome accompanying Escherichia coli O157 : H7 infection. Clin Nephrol 52:357-362,1999
8)岩佐奈津美,本田己喜子,中牟田啓子:福岡市においてヒトから分離された腸管出血性大腸菌の薬剤耐性状況(2006〜2016年).日食微生物会誌 35:154-158,2018
掲載誌情報