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増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック 各論 菌種別の培養・同定方法 グラム陰性桿菌
エルシニア属菌—Yersinia spp.
著者: 富樫真弓1
所属機関: 1一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院臨床検査科
ページ範囲:P.313 - P.315
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エルシニア(Yersinia)属は腸内細菌目に含まれる通性嫌気性グラム陰性桿菌で,1菌種を除き,周毛性鞭毛を有する.現在21菌種に分類され1),ヒトに病原性を示すのはペスト菌(Y. pestis),Y. enterocolitica,Y. pseudotuberculosisの3菌種である.Y. pestisはノミを介して感染し,腺ペストや肺ペストを引き起こす.肺ペストは飛沫によってヒトからヒトへ伝播し,致死率は非常に高い.21世紀以降,アフリカ,南北アメリカ,アジアで患者が報告されているが,日本では1927年以降,国内発生の報告はない.Y. enterocoliticaおよびY. pseudotuberculosisは食品や水を介した経口感染から主に感染性異腸炎を起こす.本稿では培養,同定,病態についてはY. enterocoliticaおよびY. pseudotuberculosisを対象に述べる.
エルシニア(Yersinia)属は腸内細菌目に含まれる通性嫌気性グラム陰性桿菌で,1菌種を除き,周毛性鞭毛を有する.現在21菌種に分類され1),ヒトに病原性を示すのはペスト菌(Y. pestis),Y. enterocolitica,Y. pseudotuberculosisの3菌種である.Y. pestisはノミを介して感染し,腺ペストや肺ペストを引き起こす.肺ペストは飛沫によってヒトからヒトへ伝播し,致死率は非常に高い.21世紀以降,アフリカ,南北アメリカ,アジアで患者が報告されているが,日本では1927年以降,国内発生の報告はない.Y. enterocoliticaおよびY. pseudotuberculosisは食品や水を介した経口感染から主に感染性異腸炎を起こす.本稿では培養,同定,病態についてはY. enterocoliticaおよびY. pseudotuberculosisを対象に述べる.
参考文献
1)LPSN : Genus Yersinia(https://lpsn.dsmz.de/genus/yersinia)(2020年11月10日アクセス)
2)Sakai T, Nakayama A, Hashida M, et al : Outbreak of food poisoning by Yersinia enterocolitica serotype O8 in Nara prefecture : the first case report in Japan. Jpn J Infect Dis 58:257-258,2005
3)磯部順子,木全恵子,清水美和子,他:簡易水道水を原因と特定できたYersinia enterocolitica O8による集団感染事例.感染症誌 88:827-832,2014
4)福島博:Yersinia enterocolitica.丸山努,仲西寿男(監):食品由来感染症と食品微生物.中央法規出版,pp315-334,2009
5)林秀樹:エルシニア感染症.木村哲,喜田宏(編):人獣共通感染症,改訂3版.医薬ジャーナル社,pp297-300,2016
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