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文献詳細

雑誌文献

検査と技術49巻3号

2021年03月発行

文献概要

増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック 各論 菌種別の培養・同定方法 嫌気性菌

フソバクテリウム属菌—Fusobacterium spp.

著者: 宮﨑成美1 太田浩敏1 山岸由佳12 三鴨廣繁12

所属機関: 1愛知医科大学病院感染制御部 2愛知医科大学病院感染症科

ページ範囲:P.371 - P.373

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Summary

 フソバクテリウム(Fusobacterium)属菌は無芽胞の偏性嫌気性グラム陰性桿菌であり,臨床上重要な菌種として,F. necrophorum,F. nucleatum,F. varium,F. mortiferumなどが知られている.口腔咽頭部,消化管,生殖器などに常在しており,全身のさまざまな臓器の化膿性感染症から分離され,特に,F. necrophorumはレミエール(Lemierre)症候群との関連性が高い.また,炎症性腸疾患や大腸癌との関連も報告されている.

 Fusobacterium属菌は酸素感受性であるため,培養時は酸素への曝露がないよう取り扱う必要がある.菌種はグラム(Gram)染色形態,コロニー性状,生化学的性状などにより同定可能である.多くの株がペニシリン系薬,セファロスポリン系薬,カルバペネム系薬,クリンダマイシン,メトロニダゾールなどの抗菌薬に感性を示す.

参考文献

1)LPSN : List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature(https://www.bacterio.net/)(2020年12月18日アクセス)
2)川村千鶴子,中村敏彦,渡邉邦友,他:5年間で経験したFusobacteriumが関与する感染症108例の臨床細菌学的解析.感染症誌 76:23-31,2002
3)Bullman S, Pedamallu CS, Sicinska E, et al : Analysis of Fusobacterium persistence and antibiotic response in colorectal cancer. Science 358:1443-1448,2017
4)日本臨床微生物学会検査法マニュアル作成委員会・嫌気性菌検査ガイドライン委員会:嫌気性菌検査ガイドライン2012.日臨微生物誌 22:14-15,2012
5)品川雅明:Fusobacterium spp. 検と技 46:262-263,2018
6)海保景子,石和田稔彦,菱木はるか,他:血液培養よりFusobacterium necrophorumが単独で分離された咽後膿瘍の例.日臨微生物誌 18:184-188,2008
7)大草敏史:腸内細菌叢の消化管疾患への関与.Mod Media 60:325-331,2014
8)国立感染症研究所:国立感染症研究所病原体等安全管理規定 別冊1「病原体等のBSL分類等」,2017
9)Tunér K, Nord CE : Antibiotic susceptibility of anaerobic bacteria in Europe. Clin Infect Dis 16(Suppl 4):S387-S389,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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