文献詳細
増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法 真菌
ムーコル目菌(接合菌)—Mucor spp., Rhizopus spp.など
著者: 奈須聖子1
所属機関: 1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部
ページ範囲:P.404 - P.407
文献概要
近年,免疫不全患者の増加に伴い,深在性真菌症が増加している.まれに外傷などに続発する限局性の皮膚ムーコル症を除けば,最も急性に進行し予後不良な真菌症と知られていることからも,検出された場合は迅速に報告することが望ましい.
また,分子生物学的手法を用いた系統分類により2007年に接合菌門がなくなり,新分類におけるケカビ亜門のムーコル目(Mucorales)に属するため,感染症はムーコル症(mucormycosis)と呼ばれている.
ヒトにおけるムーコル症の原因菌は,ムーコル(Mucor)属,リゾプス(Rhizopus)属,リゾムーコル(Rhizomucor)属,リクテイミア(Lichtheimia)属〔アブシジア(Absidia)属〕,クスダマカビ(Cunninghamella)属,ハリサシカビモドキ(Syncephalastrum)属などがある1).これらの構造体は他の真菌に比べ特徴的であるため,属レベルの同定が容易にできるよう本稿で述べていく.
参考文献
掲載誌情報