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文献概要
はじめに
5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:5-ALA)は1987年にMalikら1)によって報告された内因性ポルフィリン物質で,ヘムの前駆物質である.5-ALAは腫瘍細胞内に能動的に取り込まれ,ミトコンドリア内で蛍光物質であるPpⅨ(protoporphyrin Ⅸ)に返還される.腫瘍細胞内ではferrochelatase活性の低下によりPpⅨが大量に蓄積するため,腫瘍細胞は赤色の蛍光を発光する.現在,多くの癌症例を対象に5-ALA蛍光染色が診断・治療に試行されるようになってきている.
自然尿検体における5-ALA染色法については藤本ら2)の報告があるが,筆者ら3)は,藤本らが用いた蛍光細胞診の方法を改変し,5-ALA染色変法(以下,本方法)を考案した.まず膀胱癌について自然尿細胞診を対象に検討し,細胞診診断上の有用性を確認した.次いで本方法を腎盂・尿管カテーテル尿に応用し,その細胞診診断上の有用性を検討し一定の成果を得た3).また,本方法を胆管擦過細胞診材料に応用し,細胞診の診断能を一定程度向上させ得た4).
本稿では,筆者らの報告3,4)を通して,本方法の有用性について紹介する.
5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:5-ALA)は1987年にMalikら1)によって報告された内因性ポルフィリン物質で,ヘムの前駆物質である.5-ALAは腫瘍細胞内に能動的に取り込まれ,ミトコンドリア内で蛍光物質であるPpⅨ(protoporphyrin Ⅸ)に返還される.腫瘍細胞内ではferrochelatase活性の低下によりPpⅨが大量に蓄積するため,腫瘍細胞は赤色の蛍光を発光する.現在,多くの癌症例を対象に5-ALA蛍光染色が診断・治療に試行されるようになってきている.
自然尿検体における5-ALA染色法については藤本ら2)の報告があるが,筆者ら3)は,藤本らが用いた蛍光細胞診の方法を改変し,5-ALA染色変法(以下,本方法)を考案した.まず膀胱癌について自然尿細胞診を対象に検討し,細胞診診断上の有用性を確認した.次いで本方法を腎盂・尿管カテーテル尿に応用し,その細胞診診断上の有用性を検討し一定の成果を得た3).また,本方法を胆管擦過細胞診材料に応用し,細胞診の診断能を一定程度向上させ得た4).
本稿では,筆者らの報告3,4)を通して,本方法の有用性について紹介する.
参考文献
1)Malik Z, Lugaci H : Destruction of erythroleukaemic cells by photoactivation of endogenous porphyrins. Br J Cancer 56:589-595,1987
2)藤本清秀,松村義昭,三宅牧人,他:膀胱癌における5-aminolevulinic acidを用いた蛍光膀胱鏡下経尿道的腫瘍切除術および尿中剥離細胞に対する光力学的診断.日レーザー医会誌 30:399-404,2009
3)三村明弘,岡部美由紀,小倉啓介,他:腎盂・尿管カテーテル細胞診における5-アミノレブリン酸蛍光染色法の有用性.日臨細胞会誌 55:302-307,2016
4)三村明弘,金田香央里,岡部美由紀,他:胆管擦過細胞診における5-アミノレブリン酸蛍光染色を用いた光力学的診断併用の有用性.日臨細胞会誌 59:1-6,2020
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