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WSIを活用した病理診断とAI技術適用の現状
著者: 吉田美帆1
所属機関: 1神戸大学医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.644 - P.647
文献購入ページに移動はじめに
現在,身の回りの家電や社会インフラを含めたさまざまなものがインターネットに接続され,高性能なコンピュータやスマートフォンなどが急速に普及し,暮らしの利便性が増す時代となった.さらに,人工知能(artificial intelligence:AI)の活用により,いままでコンピュータでは実現できなかったことができるようになりつつある.膨大なデータ(ビックデータ)をAIが自ら“学習”することで,高度な判断や作業を自動で行うことが可能となり,これらの技術革新を第4次産業革命という.
病理・細胞診断分野では,1990年代前半より遠隔病理診断が行われはじめた.従来は狭い範囲の静止画像での伝送であったが,現在ではインターネットの整備が進み通信速度が向上したため,組織標本の全てをあらかじめコンピュータ内に高精細画像としてスキャンしたWSI(whole slide imaging)画像を使用している.また,2017年にまとめられた「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」1)では,AI開発を進めるべき重点領域として“画像診断支援”が挙げられ,画像診断におけるデジタル技術の重要性は今後とも増してゆくものと思われる.本稿では,WSIの活用と病理画像を用いたAI技術の現状について述べる.
現在,身の回りの家電や社会インフラを含めたさまざまなものがインターネットに接続され,高性能なコンピュータやスマートフォンなどが急速に普及し,暮らしの利便性が増す時代となった.さらに,人工知能(artificial intelligence:AI)の活用により,いままでコンピュータでは実現できなかったことができるようになりつつある.膨大なデータ(ビックデータ)をAIが自ら“学習”することで,高度な判断や作業を自動で行うことが可能となり,これらの技術革新を第4次産業革命という.
病理・細胞診断分野では,1990年代前半より遠隔病理診断が行われはじめた.従来は狭い範囲の静止画像での伝送であったが,現在ではインターネットの整備が進み通信速度が向上したため,組織標本の全てをあらかじめコンピュータ内に高精細画像としてスキャンしたWSI(whole slide imaging)画像を使用している.また,2017年にまとめられた「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」1)では,AI開発を進めるべき重点領域として“画像診断支援”が挙げられ,画像診断におけるデジタル技術の重要性は今後とも増してゆくものと思われる.本稿では,WSIの活用と病理画像を用いたAI技術の現状について述べる.
参考文献
1)厚生労働省:保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書,2017(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000169230.pdf)(2021年1月27日アクセス)
2)田中美帆,倉岡和矢,坂根潤一,他:自動画像解析ソフトとバーチャルマイクロスコピーを用いた乳癌免疫染色解析自動化の検討.臨病理 60:206-211,2012
3)Chen PC, Gadepalli K, MacDonald R, et al : An augmented reality microscope with real-time artificial intelligence integration for cancer diagnosis. Nat Med 25:1453-1457,2019
4)Coudray N, Ocampo PS, Sakellaropoulos T, et al : Classification and mutation prediction from non-small cell lung cancer histopathology images using deep learning. Nat Med 24:1559-1567,2018
5)Sanghvi AB, Allen EZ, Callenberg KM, et al : Performance of an artificial intelligence algorithm for reporting urine cytopathology. Cancer Cytopathol 127:658-666,2019
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